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マイク・ミルズの新作『カモン カモン』、ザ・ナショナルのデスナー兄弟との秘話公開

マイク・ミルズ   2022/04/05 13:15掲載
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マイク・ミルズの新作『カモン カモン』、ザ・ナショナルのデスナー兄弟との秘話公開
 ホアキン・フェニックス主演、マイク・ミルズ監督、A24製作の映画『カモン カモン』が4月22日(金)に全国公開されますが、マイク・ミルズ監督と本作の音楽を手掛けたザ・ナショナルのデスナー兄弟との制作秘話が届きました。

 これまでエールパルプオノ・ヨーコらのMVを手掛け、『人生はビギナーズ』『20センチュリー・ウーマン』でもサウンドトラックが高く評価されてきたマイク・ミルズ監督。新作『カモン カモン』も例に漏れず、無類の音楽好きのミルズ監督らしい選曲が際立っています。

 ミルズ監督は本作での選曲のこだわりについて、「いろんな音楽を使用したよ。その土地の特色が出るような音楽をチョイスしているんだ」と明かしています。例えば、ジョニーとジェシーがニューヨークに到着するシーンでは、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド結成前にルー・リードが組んでいたニューヨークのバンド、ザ・プリミティヴスの「The Ostrich」が流れますが、この選曲を「捉えがたいあの曲調が好きだったし、きっとジョニーのレコード・コレクションにもあると感じたんだ」と説明。他にも、予告編でも使われているドビュッシーの「月の光」からモーツァルトワイヤーリー・ペリーアーマ・トーマス、エチオピアの修道女でありピアニストのエマホイ・ツェゲ・マリアム・ゴブルーらの楽曲が挿入されており、クラシック、パンク、レゲエ、ソウルなどジャンルは多岐に渡ります。

 シンセサイザーやクラリネットを使用した繊細で幻想的なBGMも印象的。これらの本作の底流ともなる音楽を手掛けたのは、アメリカを代表するバンド、ザ・ナショナルの双子の兄弟アーロン・デスナーブライス・デスナー。兄弟ではミュージカル映画『シラノ』の音楽を担い、アーロンはテイラー・スウィフトのアルバム『Folklore』『Evermore』を立て続けてプロデュース、前者は昨年のグラミー賞を受賞、後者は4月4日に行なわれる第64回グラミー賞でノミネートされており、ブライスはクラシック作曲家としても引く手あまた。バンド活動に留まらない活躍を見せています。

 ミルズ監督がデスナー兄弟を起用したきっかけは、ザ・ナショナルの8枚目のアルバム『I Am Easy to Find』をプロデュースし、収録曲を使用したアルバムと同名の短編映画(※ザ・ナショナルの公式YouTubeで公開中)を制作したことにあります。アルバムに携わる中、アーロンのスタジオで本作の脚本を執筆していたというミルズ監督。「それもあって彼らはこの作品の真髄を完ぺきにとらえてくれていた。エモーショナルだけど、どことなくプラトニックなニュアンスを見事に表現してくれたんだ」。

 ミルズ監督とデスナー兄弟は、理想の音楽に仕上げるため試行錯誤を重ねました。ミルズ監督は、「探し求めることにこだわって、長い時間を使った。でもジョニーとジェシーの特別な感情の世界を表現するために、この穏やかなサウンド、ある種のメロディーとコードを見つけなければならなかったんだ」と振り返ります。また、クラシック映画を彷彿とするモノクロームの映像にあわせて「シンフォニー調の楽曲も作ってくれた。昔のハリウッド映画を彷彿させるから、弦楽器を用いたクラシカルな曲が似合うんだろうね。ブライスとアーロンには、本当にいろいろと学んだよ」とエピソードも。

 こうして作り上げられたデスナー兄弟の幻想的でエモーショナルな、唯一無二の音楽は、ミルズ監督のこだわったモノクロームの映像美と見事な融合を果たしました。ミルズ監督は「映画の精神を伝えてくれている。2人の音楽がなければ、映画は成り立たなかった」と断言。デスナー兄弟の音楽が、本作にとって必要不可欠な存在だったことが伺えます。

 デスナー兄弟が本作に与えた影響は音楽だけではありませんでした。劇中で主人公ジョニー(フェニックス)の甥っ子ジェシーが「親のいない子」のふりをするシーンがありますが、これはアーロンのエピソードから着想を得たそうです。「アーロンの娘の話を聴いた時に、映画に使いたいってお願いしたんだ。僕は自分の目でみたもの、感じたもの、体験したもの、観察したものを元にして創作するのが好きだ。つまり完璧なフィクションではなくて、ほとんどジャーナリストのような感じで脚本を書くんだ」とミルズ監督。

 さらに、両者の間には、仕事を超えた信頼関係が生まれていました。ミルズ監督は「気分が落ち込んでいる時に“ああ〜どうしよう(涙)”ってメッセージを送ると、アーロンが“君ならできるよ。頑張れ!”って励ましてくれる。自分が尊敬する人からの友情と支援を得られて、さらに、何かを一緒に作り上げることについてしっかりと語り合えるというのは、すごく意味があることであり、あまりに楽しい」と2人への友情を語っています。ミルズ監督とデスナー兄弟の熱いつながりによって作り上げられた音楽をぜひ劇場で体感してほしい。『カモン カモン』は、4月22日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開。

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『カモン カモン』
2022年4月22日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
配給:ハピネットファントム・スタジオ
happinet-phantom.com/cmoncmon
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