新世代3大ロック・ギタリストの一人と称される
デレク・トラックスと、シンガー / ギタリストの
スーザン・テデスキの夫妻を中心とするバンド、
テデスキ・トラックス・バンド(Tedeschi Trucks Band)が、4枚のアルバムと映像作品からなるプロジェクト『アイ・アム・ザ・ムーン』を発表しました。プロジェクトのトレーラーがYouTubeで公開されています。
このプロジェクトの作品は、12世紀のペルシャの詩人ニザーミーの書いた「ライラとマジュヌーン」の物語にインスピレーションを受けて制作されたもの。6月3日(金)に発売される『アイ・アム・ザ・ムーン: I. クレッセント』を皮切りに、『アイ・アム・ザ・ムーン:II. アセンション』『アイ・アム・ザ・ムーン:III. ザ・フォール』『アイ・アム・ザ・ムーン:IV. フェアウェル』とほぼひと月に一枚のペースでリリースされる4枚のアルバムからなり、計24曲のオリジナル曲が収録されます。
アルバムが4枚になったことについて、トラックスは
ジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスの67年作『
アクシス:ボールド・アズ・ラヴ』を引き合いに出し「自分たちの好きなレコードを考え始めたときに決めた。このレコードの収録時間は36分。それがレコードを満足に消化する手段のひとつかもしれないと」とコメントしています。
また、プロジェクトの映像作品『アイ・アム・ザ・ムーン:ザ・フィルム』は、アリックス・ランバートが監督を務め、各アルバムに付随したもの。スタジオにいるバンドの映像などで構成されたもので、各アルバムが発売される3日前(日本では2日前)にバンドのYouTubeチャンネルで公開されます。
「ライラとマジュヌーン」は、
デレク・アンド・ドミノスの70年のアルバム『
いとしのレイラ』のタイトルのインスピレーションにもなった物語で、『いとしのレイラ』は、全曲再現したライヴ・アルバム『
レイラ・リヴィジテッド』(2021)をリリースするほどTTBに大きな影響を与えています。TTBのヴォーカリスト、マイク・マティソンの提案によりバンドは「ライラとマジュヌーン」を読み、100ページにおよぶこの詩を現代的に解釈しました。『アイ・アム・ザ・ムーン』は、この解釈をもとに共同作業で書き上げられ、2021年1月にフロリダ州ジャクソンヴィルにあるテデスキとトラックスの自宅スタジオ、スワンプ・ラーガでレコーディング。デレク・トラックスがプロデュースし、長年のスタジオ・エンジニア、ボビー・ティスが録音とミキシングを担当しています。
『アイ・アム・ザ・ムーン』は、ロマンチックな関係、集団的闘争、信仰、そして人間の経験についてTTBが壮大な規模で探求したもの。トラックスは「この曲のほとんどは、かなり短期間で書き上げられたことに自分たちも驚いている。テーマやヴァリエーション、歌詞の引用など、またアルバムの他の曲と同じようなコード・チェンジも入っている」「いつも何か大きなテーマ性のあることをやりたいと思ってきたが、今回初めて自然にそうなったんだ」と語っています。
Photo by David McClister