2006年のデビュー以来、現代日本を代表するシンガー・ソングライターとして数々の歌を作り続けてきた
寺尾紗穂が6月22日(水)、通算10枚目のオリジナル・アルバム『余白のメロディ』を発売。
この世界の深淵に潜む様々な感情、光景、出来事を、類まれな才能ですくい取ってきた歌世界は、ここに至って、さらなる広がりと奥行きを獲得しました。彼女の歌には、ときに鋭く社会的な問題意識も反映されてきましたが、もちろん、それだけが理由で多くの者の心を捉えてきたのではありません。寺尾紗穂の歌は、これまでも常に「言葉にし得ないもの」への関心と近しさを湛えており、だからこそ、聴く者の内にある深い部分に触れてきたのです。
本作は、とりわけ『
楕円の夢』以降寺尾が探求してきた、正論や正義、漂白されていく社会から距離をとった「余白」と、そこにこそ息づく希望や夢といったテーマが、もっとも美しい形で結晶した、キャリア史上に輝く傑作。日々「変わりつづける世界」への疲弊と、無情にも「変わらない世界」への絶望。あなたやわたしを取り囲む孤独が氷のように固まってしまっても、寺尾の音楽は、人がこの世界にひとしく生まれ落ちた事実を希望として浮かび上がらせ、そのこわばりをゆっくりと溶かしていきます。『余白のメロディ』は、不信に唆され、ついには歌うことのできなくなった人々を、今再び歌の生まれる場所へと誘い出します。
バンド“
冬にわかれて”での活動を通しさらに紐帯を強めた
あだち麗三郎、
伊賀航をはじめ、
池田若菜、高橋三太、
未知瑠、そして新進気鋭のシンガー・ソングライター / トラックメイカー
Momの他、多くのアーティストが録音に参加し、より一層の壮麗さと繊細を増した寺尾の歌唱 / ピアノ演奏を支えています。
本作の核とでもいうべき曲「歌の生まれる場所」をはじめ、オリジナル曲の充実ぶりは、まさに至高といえる領域へ。また、「良い帰結(Good End)」では
MC.sirafuが、「期待などすてて」「灰のうた」では松井一平が歌詞を提供しており、お互いのクリエイティビティが溶け合った見事なコラボレーションを聴かせてくれます。加えて、寺尾にとっては歌の道を選ぶことになるきっかけとなった重要曲、
西岡恭蔵「Glory Hallelujah」を収録、原曲の魅力を汲み取りつつ、そこへ新たな生命を吹き込んでいます。
■2022年6月22日(水)発売
寺尾紗穂
『余白のメロディ』
CD KHGCD-002 3,300(税込)