東京音楽大学(TCM)が本年度より新たに開講した付属オーケストラ・アカデミー。世界で通用するオーケストラ奏者を育成することを目的とし、オーケストラで長年活躍してきた経験豊富な同大学の指導陣のもと、アカデミー生は研鑽を積んでいます。開講直後の5月には、〈別府アルゲリッチ音楽祭2022〉において、
マルタ・アルゲリッチ、指揮者チョン・ミンと共演し、アカデミー生にとって華々しいデビューを飾りました。大舞台を通して急激に成長を遂げる彼らの次なる公演は、
宮本文昭指揮で、7月10日(日)に東京・TCMホール(東京音楽大学 中目黒・代官山キャンパス内)で行われます。
曲目は、ベ
ートーヴェンの交響曲第7番イ長調 第1楽章と
モーツァルトのピアノ協奏曲第20番ニ短調 第1楽章。どちらも名曲ですが、今回取り上げるのは第1楽章のみ。それは指揮の宮本の「ただ経験として曲に触れるだけではなく、オーケストラによる質の高い音楽づくりを学んでほしい」という願いによる構成となっています。オーケストラの実際の現場では、計90分程度のプログラムを2、3回のリハーサルによって仕上げなければならないという実情はありますが(時にはもっと長大な曲で、1回のリハーサルだけということも......)、そういった現場で必要な能力はもちろん、本アカデミーでは、オーケストラにしかできない音楽づくりの真髄を学んでほしいと、熱意ある指導陣が時間をかけてレッスンを行っています。
また、今回のソリスト
安並貴史は、東京音楽大学大学院博士後期課程で博士号を取得し、第14回シューベルト国際音楽コンクール優勝等、数々の受賞歴のある、これからの活躍がますます楽しみな若手ピアニストです。モーツァルトの瑞々しい音楽が期待されます。学生オケとも、寄せ集めのオケとも(もちろんプロオケとも)違う、TCM付属オーケストラ・アカデミーの公演で、躍動する若者たちの音楽をぜひお聴きいただきたいところです。公演は演奏だけでなく、宮本によるトークもあり、音楽づくりの過程もお聞きいただける内容で、満足度は高いものになることは間違いありません。