日本を代表する作曲家、
武満徹が愛した映画・TVドラマのために作曲した、珠玉の名曲を集めたアルバム『波の盆 武満徹 映像音楽集』が7月20日(水)に発売。
2021年に没後25年を迎えた武満。その豊かで独特の響きは“タケミツ・トーン”とも呼ばれ、20世紀を代表する現代音楽作曲家として世界的に評価されています。その一方で、実は大の映画好きとしても知られており、映像のための音楽も数多く残してきた“映像音楽作曲家”という側面も持っています。
アルバム『波の盆 武満徹 映像音楽集』は、1950年代から1980年代にかけて公開された映像作品のテーマ曲を中心に収録。NHKで放送された
吉永小百合主演のTVドラマ『
夢千代日記』(1981)や、『
北の国から』で知られる
倉本總原作、文化庁芸術祭大賞も受賞したTVドラマ『
波の盆』(1983)、そして世界で初めてヨットによる単独無寄港で太平洋の横断に成功した海洋冒険家、
堀江謙一の実録を原作とした映画『
太平洋ひとりぼっち』(1963)など、いずれも名作が揃っています。特に、6月には堀江が世界最高齢となる83歳で単独無寄港での太平洋横断を再び達成し、大きな話題となりました。武満の愛娘、武満眞樹が楽曲の選定などで制作に関わっています。
映画の情景が鮮明に目に浮かぶような、琴線に触れる楽曲が揃う本作。没後26年目に改めて見えてくる“武満徹の映像音楽の世界”が存分に楽しめる作品となっています。
[コメント]父は映画が本当に大好きでした。映画音楽を作曲する前には、相当長い時間をかけて台本や資料を読んでいましたし、ロケに行ったりもしていました。ただ今作のように、映像音楽だけ独立して演奏されることにとても驚いていると思います。映画好きならではのこだわりがつまったこの作品を楽しんで頂ければと思います。――武満眞樹(難解な)現代音楽のイメージが強い武満徹ですが、今作は思わず涙が出てしまうような美しいフレーズも多く、びっくりする方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな武満さんの優しく温かい心を感じ取って頂ければと思います。――指揮者: 尾高忠明