蜷川べに(
和楽器バンド)とKOGEI Nextのコラボレーション・プロジェクトにより、世界に1台のエレキ三味線となる“蜷川べに専用津軽三味線”が誕生しています。
虻川べには、詩吟、和楽器とロック・バンドを融合させた新感覚ロック・エンタテインメント・バンド“和楽器バンド”のメンバーで津軽三味線を担当。和楽器バンドは、2014年4月にアルバム『
ボカロ三昧』でデビューしています。
KOGEI Nextは、工芸作家とこれまで関わりの薄かった現代社会とをつなげることで生まれる作品や活動、自然環境や社会課題との関わりを通じて、“モノ”としてだけではない新たな価値を持った、工芸の次のすがたを実現させる運動です。京都で美術商を営む古美術鐘ヶ江と、IoTクリエ―ターの育成やスタートアップ事業を支援する株式会社クロステック・マネジメントが推進しています。
津軽三味線を含む和楽器は、演奏人口の減少や職人の高齢化、素材の入手が年々困難になるなど、これまで通りの楽器生産の継続が危ぶまれています。そのような中で、KOGEI Nextでは、三味線文化の次世代への普及と新しい在り方を提案するため、和楽器と洋楽器を融合させたロック・バンド“和楽器バンド”とのコラボレーション・プロジェクトが進められてきました。
本作品の装飾はKOGEI Nextに参画する漆芸職人集団・彦十蒔絵が担当。伝統的な漆芸技術をつかって、ここまで豪華でありながら繊細に装飾を施した津軽三味線は過去に例がありません。使用している素材も、小型家電などからリサイクルした都市鉱山由来の金箔や、京セラ株式会社が開発した装飾用素材である京都オパールが使用され、伝統的な漆芸技術と環境に配慮した素材の融合が実現しています。
また、デザインはKOGEI Nextのアドバイザーである京都女子大学生活造形学科の前崎信也のゼミ生と蜷川の共創で、伝統を感じさせる中にも若々しい輝きにあふれた津軽三味線となっています。さらに、情報を保存するためこの三味線にはブロック・チェーン証明書を発行しプロジェクトの概要を記録しています。楽器の内部に証明書の情報にアクセスできるICタグが仕込まれており、携帯電話をかざすと証明書の内容が表示されます。この証明書の情報は半永久的に保存されるため、未来の所有者もかつて“和楽器バンド・蜷川べに専用の津軽三味線”であったことを知ることができます。
虻川べに専用津軽三味線は、10月21日(金)〜12月11日(日)に開催される、京都・高台寺の秋の特別展「これが漆!?―彦十蒔絵の超絶技巧―」で展示される予定です。
[コメント]今回貴重なプロジェクトに参加させて頂いてとても光栄に思っています。
前々から自分の中でこういったデザインのオリジナル三味線を作ってみたいという思いがあったので、唯一無二の職人さんたちの手によって環境にも配慮された素材を使い、手間暇をかけて世界で一丁の津軽三味線を作る事が実現出来ました。
デザイン案をあげて実際それが楽器として実用可能なのかも、リモートで学生さんや職人さんと何度も話し合いつつ進めてきました。
能登半島の漆塗りの工房にもお邪魔させて頂いて一から工程を見学させて頂きお話を伺い体験もさせて頂きました。
これからライブや活動の中でこの作品を使い、少しでも多くの方の目に留まり私達のコラボレーションを知って頂ければ幸いです。――蜷川べに(和楽器バンド)写真 撮影: 中河原理英 提供: ユニバーサルミュージック