[岸田 繁(くるり)] 1st「Defenitily Maybe」を初めて聴いた17歳頃、スウェードやストーン・ローゼズのようなバンドだなぁと思ったと同時に、それらのバンドよりも、ギターのコード感(コード進行と言うよりは)に、例えようのない特徴があるなぁと思った。それが第一印象。聴けば聴くほど好きになるアルバムだった。 当然、2nd「(What's The Story)Morning Glory?」を聴く。その頃には私もバンドでソングライティングをやっていたはずだ。前作の「Live Forever」なんかで聴こえてきた不思議なコード感と共に、シンフォニックとも言える轟音のギターの中を泳ぐメロディー。とてもとてもダイナミック。 私のOASIS贔屓は、ここから始まったのかも知れない。勿論、最高の作品だったラスト・アルバム「Dig Out Your Soul」まで全て網羅したんだけれども。 誰も語っていないOASIS論。「轟音ギター」とか「大仰なサウンド」とか揶揄されることもある彼らだけれども、最初の最初から、彼らの音楽はベートーベンやマーラーの様な、シンフォニーのようだった。「ギターは小さなオーケストラ」とはジミー・ペイジの言葉だけれども、ノエル・ギャラガーはローコードの開放弦と深いリヴァーブを使って、ペイジよりシンプルかつ所謂スコティッシュ・トラッド的な(バート・ヤンシュやエリック・ドルフィーの影も見える)フォーク・ロック・スタイルのギターで、ニール・ヤングとは全く異なるオリジナリティを確立した。 音楽的、器楽的にはシンプルだけれども、印象的にはベートーベンのような「歌えるシンフォニー」、つまり「本当の民衆の音楽」を初めて作り上げた、偉大なロックバンドだと思う。だから、ずっと聴き続けている。自分の中では、ベートーベンなんかと同じように、血肉となっている。