大村憲司 2003/10/28掲載(Last Update:08/03/31 17:57)
今年の8月には名盤『ファースト・ステップ』が再発されたり、没後5年を迎え
大村憲司の名前が再び聞けるようになりました。新たに彼の作品を耳にした方は、“孤高のロックギタリスト”といったイメージでは無く、セッション・ギタリストとして、類を見ないほど多彩な魅力に溢れている事に新鮮な驚きを感じている事と思います。大村憲司のプレイの奥深さもそうですが、ミュージシャンズ・ミュージシャンと呼ばれる彼の人脈の豊かさも魅力のひとつ。そんな数多くの天才達との愛に溢れた交流が確認できる画期的な作品が2タイトル同時にリリースされます!(写真は
YMO関連アイテムとしても有名
『春がいっぱい』)
11月21日に発売となるその作品の名は、ファンにとっては涙ものの音源を収録した未発表ライブ音源集
『Left-Handed Woman best live tracks I』(VICL-61223 \2,500(税込))と
『Leaving Home best live tracks II』(VICL-61224 \2,500(税込))。ファンだけではなく、入門者にも広く推薦したい本作、とにかく参加しているアーティストの豪華な事! セッションミュージシャンの
村上“ポンタ”秀一、バカボン鈴木、
KYON、
高水健司、松原秀樹など、お馴染みのメンバーに加え、
矢野顕子や
大貫妙子などなど・・・その錚々たる顔ぶれからも、彼がジャパニーズ・ポップスが成熟する過程に、なくてはならない存在だった事が伺えます。大村憲司のオリジナルはもちろん、
ポンタ・ボックスをバックに「Georgia On My Mind」(有名なジャズスタンダード。古くは
レイ・チャールズの歌唱が有名。ピアノトリオではオスカー・ピーターソン・トリオの名演が名高い)をブルージーに聴かせたり、バラエティーに富んだ曲の豊かさからも、彼の奥深い音楽性が窺い知れます。中でも感動的なのが、大貫妙子の看板ソング「突然の贈り物」を本人を迎えての演奏! 大貫妙子のオリジナルでは、70年代を代表する名ギタリスト、松木恒秀の泣きのギターがあまりにも素晴らしいのですが、大村憲司のこのバージョンも、かなり泣かせに来ます! 他に矢野顕子とのデュオで聴かせる静かな「Leaving Home」も、ここでしか聴けない極上の逸品です。ときおり挿入される大村憲司の穏やかなMCを聴くと、氏の人柄に触れるようで、なんだか切ない気持ちが込み上げます。2枚まとめて、ぜひどうぞ!