“OUTRAGE”メンバーの少年時代からバンド活動35年間の軌跡を辿るヒストリームービーに役者出演が決まった4人の若者たちを主人公に、ヘヴィ・メタルとは無縁の彼らが、“OUTRAGE”の歩んだ「激動」や「葛藤」を役を通して体感し、自身のふがいない生き様や苦悩がシンクロしていく中で、「信じる」「続ける」ことに気づき、自らの根源に向き合い大切な仲間とともに次のステージへと駆け出していく姿を描きます。この映画は“OUTRAGE”を辿る音楽ムービーではなく、ヘヴィ・メタル映画でもありません。その真意は“OUTRAGE”が名古屋で活動を続け、映画製作を“ALL 名古屋 MADE IN 名古屋”とするこだわりに込められています。
原案は音楽評論家の伊藤政則。監督は“OUTRAGE”の映像制作をすべて手掛ける山田貴教。オール名古屋ロケ、役者も制作 / 製作スタッフも在名活動者で固めた、名古屋発信の“ALL 名古屋 MADE IN 名古屋”を貫いた映画です。
[原案者コメント] OUTRAGEほど“不器用”なバンドを他に知らない。しかし、“不器用”だからこそ、彼らは“愚直”に生き、故に、その桁違いの純粋性が機能して、今日に連なる歴史を育んできた。 本当に不思議なバンドだと思う。また、彼らは枠からはみ出してこそ、その個性の華を咲かせることが出来る。常々、そう思ってきた。保守的な色合いの強いヘヴィ・メタル・シーンの中で、OUTRAGEが埋没していかないためには、常に大衆の期待をいい意味で裏切り続けなければならない。では、究極の裏切りとは何か。それはOUTRAGEの存在から最も遠いものを具現化させることだ。ある日、丹下眞也の顔を見ていて閃いた。「丹下、映画を作ろう!」。歴史に残る偉業の多くは、突然、閃いたアイディアから生まれた(と思う)。困り切って顔がゆがんだ丹下の表情を見て、「いいな、すぐに取り掛かれ!」と追い打ちをかけた。かくして、この壮大なプロジェクトは動き出し、OUTRAGEの映画という、誰も予想だにしていなかった世界の扉を開いていくのである。 実は、この映画制作の話と共に、オーケストラを起用して、個性的な手法で作品を練り上げるアイディアも提示している。スケールがでかければでかいほど、話の転がりは面白くなるものだ。このアイディアは既に「RE:PRISE-THE FINAL DAY 30TH ANNIVERSARY」で実現している。機を見るに敏。アイディアは太い幹となり、その行動力は彼らの新たな地平を切り拓くことになった。CD2でオーケストラが披露した秀逸なパフォーマンスは、OUTRAGEというバンドの精神的地下水脈を形成する、ダークさと逞しさ、そして、繊細さを、見事に際立たせることに成功していた。さらに、この実験の成功によって、バンドの未来には無限の可能性が広がっているのではないかと、ファンの夢を駆り立てていった。若い時代の物語ではなく、このキャリア、この年齢に達して、そのレベルに辿り着いたという、いわば、演歌歌手にも似た苦労人の世界観が、実にOUTRAGEらしいではないか。彼らが用意しているのは、映画という飛び道具だけではない。これからは、様々な入り口がファンを待ち構えている。そのワクワクさせる多様性に満ちた出来事のひとつ一つが、OUTRAGEというバンドの“本質”へと、その奥深くへと、誘っていくのである。これまでOUTRAGEを知らなかった方や、浅い縁だったという方々にも、この“不器用”なバンドの電撃的な進撃は、大きな変化をもたらすことになるだろう。 デビュー当時、名古屋の秘密兵器と呼ばれていたバンドは、21世紀の今、やっと、本物の秘密兵器になった。 ――伊藤政則