円盤式蓄音機(現在のレコードの原型)を発明し、特許を取得したドイツ出身のアメリカ人エミール・ベルリナー(Emil Berliner)が1898年に創立した世界最古のクラシック・レーベル「ドイツ・グラモフォン」(DG)が、創立120周年を迎える今年、世界各国で記念コンサートを開催中。日本でも12月5日(水)東京・赤坂 サントリーホールで〈ドイツ・グラモフォン創立120周年 Special Gala Concert
Presented by 小澤征爾 & サイトウ・キネン・オーケストラ〉を行ないました。本公演の模様は来年1月より順次、DGより全世界でリリースされる予定です。
公演では、約2,000人の観衆が見守るなか、故
齋藤秀雄教授の没後10年にあたる1984年に齋藤の弟子である
小澤征爾の発案により結成された
サイトウ・キネン・オーケストラが、全5曲、約110分(休憩時間を除く)のプログラムを披露。サイトウ・キネン・オーケストラにとっても、約17年11ヶ月ぶりとなる東京でのコンサートとなりました。
公演の前半は、サイトウ・キネン・オーケストラを過去3度にわたりゲスト・コンダクターとして指揮し、国内外で高い人気を誇るベネズエラ出身の指揮者ディエゴ・マテウス(Diego Matheuz)が、
チャイコフスキーの楽曲のなかでも人気の高い「歌劇『エフゲニー・オネーギン』からのポロネーズ」と、交響曲第5番を指揮。後半からは、14歳でのデビュー以来DG専属アーティストとして活躍し、現在では“ヴァイオリンの女王”と評される
アンネ=ゾフィー・ムター(Anne-Sophie Mutter)が登場し、
J.S.バッハのヴァイオリン協奏曲第2番を弾き振りで演奏、その後再度登場したマテウスと
ベートーヴェンの「ヴァイオリンと管弦楽のためのロマンス第1番」を演奏しました。
公演のクライマックスでは、「サイトウ・キネン・オーケストラとアンネ=ゾフィー・ムターの初共演を指揮するのを楽しみにしている」と語っていた小澤が、約2年ぶりにサントリーホールに登場。指揮者
ヘルベルト・フォン・カラヤン(Herbert von Karajan)に師事した小澤と、カラヤンにヴァイオリニストとしての才能を見出されたムターという所縁の深い2人が、
サン=サーンスの「序奏とロンド・カプリチオーソ」で共演しました。
終演後、共演を振り返り、ムターは「100回共演したいわ」とコメント。それに応えるように小澤も「とても素晴らしかった。楽しかったよ」と語りました。
©Ryota Mori