2022年12月に60歳を迎えた指揮者の
パーヴォ・ヤルヴィの長年の功績を称えたリリースが続くなか、名誉指揮者を務める
NHK交響楽団と録音した『
20世紀傑作選⑤バルトーク:管弦楽のための協奏曲&中国の不思議な役人』と、2010~16年にかけて音楽監督を務めた
パリ管弦楽団と録音した『
ラヴェル:管弦楽曲集』の2作が4月12日(水)に同時発売されます。
NHK交響楽団とのアルバムは、
バルトークの2大名曲「管弦楽のための協奏曲」と「中国の不思議な役人」のカップリング。2015~20年まで首席指揮者を務めたヤルヴィが最終シーズンに取り組んだバルトーク・プロをライヴ・レコーディングしたもので、2019年に発表した『
20世紀傑作選①バルトーク三部作:弦楽器・打楽器・チェレスタのための音楽他』と対をなすアルバムとなっています。
ヤルヴィにとって初録音となる「中国の不思議な役人」は組曲版を使用し、N響のヴィルトゥオジティの高さとヤルヴィの緊密なドライブが相乗効果を生んだ凄演。一方「管弦楽のための協奏曲」はヤルヴィにとって16年ぶりの再録音で、この作品は彼がN響首席指揮者就任時の2015年に取り上げ、高く評価された人気の演目でもあり、ヤルヴィとN響が積み重ねた音楽活動の成果と重みが刻み込まれています。ヤルヴィ自身も、「(この2曲は)ソロ・コンチェルトなみに至難なパッセージをあらゆる楽器に要求するが、それをこなす個々の楽団員やセクションの首尾は秀逸といってよく、オーケストラ全体はベストの仕上がりにある」と語っています。
パリ管弦楽団との録音『ラヴェル:管弦楽曲集』には、フランス音楽の粋ともいうべき
ラヴェルのオーケストラ作品の名品4曲を収録。フランス音楽を深く愛するヤルヴィにとって、その中でもラヴェルは「たった一人を選べと誰かに言われたら真っ先に頭に浮かぶ」存在。2015年のフィラルモニー・ド・パリのこけら落とし公演の最後を飾り「衝撃的な輝き」と絶賛された「ダフニスとクロエ」第2組曲をはじめ、2012~15年にかけて収録された演奏は、いずれもヤルヴィならではの繊細なニュアンスとパリ管の持つ華やかで透明感のあるラテン的な響きが相乗効果を生んだ名演揃い。ヤルヴィも「この手の音楽を感覚的に把握し、そして具現化する行為において、どこもこの楽団には比肩しえない」と語り、パリ管の演奏を通じてフランス音楽の理想像を実現させた自信をのぞかせています。
Photo by Tomoya Takeshita