イタリア出身で、ニューヨークを拠点に活動するジャズ・ギタリスト、
パスクァーレ・グラッソ(Pasquale Grasso)の約2年半ぶりのアルバム『ファーヴァンシー』が2月7日から配信されています。ボーナス・トラックを追加収録する国内盤CDは4月23日(水)発売。アリ・ローランド(b)、キース・バッラ(ds)とのトリオで録音した、ジャズ黄金時代にオマージュを捧げるアルバムです。
アルバムのオープニングは、パスクァーレのヒーローであり敬愛する
バド・パウエルが1958年に発表したアルバム『Time Waits』収録の「サブ・シティ」。この曲についてグラッソは「あのバドの録音はずっとお気に入りだったんだ。今はあまり演奏しなくなったけど、昔は毎週月曜日、Mezzrow(ニューヨークのジャズ・クラブ)でのセットの最初に演奏していた」と語っています。
トリオのアリ・ローランドとドラマーのキース・バッラは、2009年にグラッソがニューヨークにやってきて以来の気心知れた仲。グラッソは信頼できる仲間とともに、フランスのトレニエ社のギターで、往年のジャズ・レジェンドたちの宝石のようなレパートリーに加え、2曲のオリジナル曲を奏でています。師匠
バリー・ハリスのエレガントなミディアム・スウィング「アンド・ソー・アイ・ラヴ・ユー」、
コールマン・ホーキンスの「ビーン・アンド・ザ・ボーイズ」、
チャーリー・パーカーと
マイルス・デイビスの「リトル・ウィリー・リープス」などが独特のクリアかつ温かな音色と精巧なアレンジで披露。バラード調の「ファーヴァンシー(Fervency)」は、グラッソが辞書をめくっていたときに偶然見つけた言葉で、「非常に強い感情」という言葉の意味に共感し、アルバム・タイトルとしても採用されることとなりました。
「バード(チャーリー・パーカー)やバドのバラードを聴くと、自分はとても強く心を揺さぶられる。バドが弾く〈Spring is Here〉や〈Moonlight in Vermont〉を聴くと、コードの一つひとつが全然違う感情になる」とグラッソは偉大な先人を語っています。