ヴァイオリニストの
パトリツィア・コパチンスカヤがピエロの衣装をまとって歌を歌い、ベルリン・フィルハーモニーほか欧米各国で披露した
シェーンベルクの「月に憑かれたピエロ」。この公演を収録するCD『シェーンベルク:月に憑かれたピエロ、幻想曲、6つの小さなピアノ曲 / ウェーベルン: 4つの小品 他』が4月9日(金)に発売されます。2019年12月、スイスのチューリヒ放送スタジオにて録音。付属する95頁のブックレットには、公演写真や資料図版などを掲載。日本盤には日本語解説と歌詞対訳が付きます。
演奏はコパチンスカヤの他、ミーサン・ホン(vn, va)、ジュリア・ガレゴ(fl)、レト・ビエリ(cl)、マルコ・ミレンコヴィチ(va)、トーマス・カウフマン(vc)、ヨーナス・アホネン(p)。
このシェーンベルクの問題作は、5人の奏者による室内アンサンブルと、「語るように歌う」シュプレヒゲザング(あるいはシュプレヒシュティンメ)と呼ばれるソロのために書かれおり、現在はソプラノ歌手がソリストを務めることが多く、演奏至難なことで知られています。コパチンスカヤのアプローチは、歌うことよりも演劇的にダイナミックな表情を付けて語ることに主眼が置かれており、これは、この作品を委嘱し初演したアルベルティーネ・ツェーメが歌手ではなく女優であったことを踏まえると、彼女なりに原点を追求した形と言えるかもしれません。時に叫び声に近い激しい表現を加えながらも、コパチンスカヤが持つ音楽的な下地がその芸術性をしっかりと支えており、彼女の、そして作品の新たな魅力を堪能することの出来る素晴らしい出来栄えとなっています。
CDには「月に憑かれたピエロ」のほか、シェーンベルクの「ヴァイオリンとピアノのための幻想曲 Op.47」「6つの小さなピアノ曲」、
ウェーベルンの「4つの小品」、
クライスラーの「ウィーン小行進曲」、シェーンベルクが編曲した
ヨハン・シュトラウスの「皇帝円舞曲 Op.437」を収録。コパチンスカヤは「月に憑かれたピエロ」以外ではヴァイオリンを弾いています。