ヴァイオリニストの
パトリツィア・コパチンスカヤ(Patricia Kopatchinskaja)が、アメリカの作曲家 / ピアニストで自伝『Bad Boy of Music』でも知られる
ジョージ・アンタイルをテーマにしたニュー・アルバム『「ジョージ・アンタイルの見た世界」〜アンタイル、フェルドマン、ケージ、ベートーヴェン作品集』を4月29日(金・祝)に発表します。
“未来派ピアニスト”を自称していたアンタイルは
ベートーヴェンを崇拝し、リサイタルの際みずからの作品の前に好んでその曲を演奏しており、コパチンスカヤはベートーヴェンの個性が色濃く出始めた時期のヴァイオリン・ソナタ第7番を取り上げています。アルバムの核となっているもう一つの作品は、アンタイル自身のヴァイオリン・ソナタ第1番。ヨーロッパに渡り、“狂乱の時代”のパリで
ピカソや
ストラヴィンスキーらと交流を持った彼は、詩人エズラ・パウンドに恋人でヴァイオリニストのオルガ・ラッジを紹介され、彼女のためにこの作品を書きました。当時のパリの雰囲気をよく反映した、
サティや
ミヨーなどにも通じる洒脱で躍動感のある作品です。その後アメリカに戻って親交を深めたのが
モートン・フェルドマンや
ジョン・ケージで、彼らによる実験性あふれる作品も収録しています。ここでコパチンスカヤと共演するのは、彼女が自分の“ドッペルゲンガー”と呼ぶフィンランドのピアニスト、ヨーナス・アホネン。2人の息の合った切れ味鋭い演奏が、それぞれの曲の魅力を引き立てています。