ニュース

映画『ワン・ハンド・クラッピング』公開を記念した萩原健太×藤本国彦トーク・イベントのレポートが到着

ポール・マッカートニー   2024/10/09 14:11掲載
はてなブックマークに追加
映画『ワン・ハンド・クラッピング』公開を記念した萩原健太×藤本国彦トーク・イベントのレポートが到着
 ポール・マッカートニーウイングスが1974年に行なった歴史的レコーディング・セッションの模様を収める、ライヴ・ドキュメンタリー映画『ポール・マッカートニー&ウイングス - ワン・ハンド・クラッピング』。

 この映画の10月4日からの全国拡大公開を記念して10月6日に東京・TOHOシネマズ 日本橋で開催された、萩原健太藤本国彦によるトーク・イベントのレポートが公開されています。

[トーク・イベント オフィシャル・レポート @TOHOシネマズ 日本橋]
 1974年8月、ポール・マッカートニー&ウイングスのアルバム『バンド・オン・ザ・ラン』(1973年)がUKチャート1位を独走する中、アビイ・ロード・スタジオで撮影されながらも50年の間お蔵入りし、“史上最もブートレグが出回った作品の一つ”(Paul McCartney official)と言われていた本作。

 初の劇場公開に、「感慨深いですねぇ。こんな大きなスクリーンでこの映像を見る日が来るとは!」(萩原健太さん)、「ほんとですね。映画で観られることが奇跡的ですね」(藤本国彦さん)と客席に向かって語られたお二人。同じ思いを抱いていたファンの方々からの共感が広がる中、トークイベントはスタートしました。

 冒頭、2010年『バンド・オン・ザ・ラン』デラックス・エディション発売時に、ポール・マッカートニーに直接電話インタビューをされたという萩原さんのお話に会場は興味津々に。

 ウイングスはどんなバンド? との質問に「ウイングスの良さはリンダにある」と話していたというポール。「リンダのコーラスが聞こえるとウイングス、という感じがしますよね」と萩原さんが話されると「そうですね。やっぱり大きいですよね」と藤本さんも共感。「後は、あまり上手くないシンセね。決してけなしているわけではなくて、今のバンドのウィックス(Paul "Wix" Wickens:長年ポールのツアーに帯同する鍵盤奏者)だったら、左手で難なくこなしてしまうようなフレーズを、一生懸命弾いているあの感じ、仲間が集まって、アマチュアぽい所もあるんだけれど、このメンバーじゃないと出せない音を出す所に、バンドのウイングスの魅力がありますよね。それをとても愛おしく感じます」と萩原さん。

 そのインタビューで同じく語られていたというポールのバンド愛に関連して、“作品の中でも楽しいと話していたものの、自分の方が何でも上手くできて、決してバンド向きではないと思われるポール”が、「それでもバンドをやりたいという情熱を持っていた時のいいドキュメンタリー」(萩原さん)とのお話もありました。

 途中、白隠慧鶴(はくいんえかく)の禅問答というタイトル“ワン・ハンド・クラッピング”に関連して、「1971年にジョンとヨーコが来日した際、白隠の禅画を購入していて、イマジンにも影響を与えているのでは」(藤本さん)というレアなエピソードが語られたり、作品に挿入されるインタビューに関して、「ロックンロール以前の音楽性に対する思いが本人の口から語られるのは興味深かった」(萩原さん)、「作品の冒頭に登場する今のポールや、〈1985〉をハンド・マイクでシャウトする姿も含めて、素顔のポールが観られるのがいい」(藤本さん)など、「色々と発見がある作品」(萩原さん)、とのお話も。

 終盤、エディ・コクランなどの曲をギターで弾き語るバックヤード・セッションの最後に“古い曲ばっかりだな”、とポールが呟く場面に関して、「今やポール自身の曲が古い曲になっているわけですが(笑)。でも、今この映像を見返して改めて思い知るのは、若い頃つい気にしがちな“最先端じゃないといけない”とか“時代の空気感がないとダメだ”とか、そういう価値観がいかに曖昧なものかということ。歳をとっても全然衰えず現役感たっぷりの作品を作り続けてくれるポールのようなアーティストはそんなことをごく自然体で教えてくれますよね」と話された萩原さん。

 続いて「ポールは変わらないですしね。作品を作り続けますし、ライヴもやり続けますし、生涯現役なのが、本当にすごいです」と藤本さんが話されると、「それをやりたくてもできない、ジョン・レノンという存在がいるからこそ、自分はやり続けるんだ、と思っていることもあるのかな、という気もしなくはないですね」と、萩原さんが話を継がれ、藤本さんと会場からも深い頷きがありました。他にも、本作はもちろんビートルズ、ポール、ウイングスはじめ、音楽シーンに精通する専門家として、また作品を愛するファンとしての視点から、時に笑いも誘いながら様々なお話が語られ、大きな拍手を持ってトークショーは終了となりました。




カルチャヴィル
www.culture-ville.jp/onehandclapping
最新ニュース
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] ジャック・アントノフ   テイラー・スウィフト、サブリナ・カーペンターらを手がける人気プロデューサーに訊く[インタビュー] 松井秀太郎  トランペットで歌うニューヨーク録音のアルバムが完成! 2025年にはホール・ツアーも
[インタビュー] 90年代愛がとまらない! 平成リバイバルアーティストTnaka×短冊CD専門DJディスク百合おん[インタビュー] ろう者の両親と、コーダの一人息子— 呉美保監督×吉沢亮のタッグによる “普遍的な家族の物語”
[インタビュー] 田中彩子  デビュー10周年を迎え「これまでの私のベスト」な選曲のリサイタルを開催[インタビュー] 宮本笑里  “ヴァイオリンで愛を奏でる”11年ぶりのベスト・アルバムを発表
[インタビュー] YOYOKA    世界が注目する14歳のドラマーが語る、アメリカでの音楽活動と「Layfic Tone®」のヘッドフォン[インタビュー] 松尾清憲 ソロ・デビュー40周年 めくるめくポップ・ワールド全開の新作
[インタビュー] AATA  過去と現在の自分を全肯定してあげたい 10年間の集大成となる自信の一枚が完成[インタビュー] ソウル&ファンク・ユニットMen Spyder 初のEPを発表
[インタビュー] KMC 全曲O.N.Oによるビート THA BLUE HERBプロデュースの新作[インタビュー] 魚返明未 日本の新世代ジャズを牽引するピアニストが、新たなトリオでアルバムを発表
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015