2017年12月に東京オペラシティで
メシアンの「幼子イエスにそそぐ20のまなざし」を披露し、「東京オペラシティに集う聴衆との強い結びつきを感じている」と語ったピアニストの
ピエール=ロラン・エマール(Pierre-Laurent Aimard)が、同会場のコンサートホール:タケミツ・メモリアルでメシアンの「鳥のカタログ」を全曲披露する公演を11月3日(木・祝)に開催します。
全13曲、演奏に約150分かかるこの曲は、鳥類学者でもあったメシアンがそれぞれの曲のタイトルに、イソヒヨドリ、モリフクロウ、ヨーロッパウグイス、ダイシャクシギなど鳥の名前をつけたもの。さらに作品内ではまさにカタログのように、メシアンがフランス各地で聞いた70種以上の鳥の鳴き声が「ラ・メージュ山の氷河への登坂道」「6月末、午前5時半頃のブランドレ・ド・ガルデペ」といったように、その鳴き声を聞いた場所やその情景、時間とともに楽譜に書き表されています。もちろん、この作品は鳥の声を再現した音楽という事ではなく、いわば自然全体を作曲家自身の音感覚で描いたものといえ、技巧的にも音楽的にもきわめて高度で、作品を深く読み解いたうえで幅広い表現力を必要とする、まぎれもないメシアンの音楽世界です。
エマールは、2016年に芸術監督を務めていたイギリスのオールドバラ音楽祭で、実際にその鳥が鳴く時間に合わせて朝4時から翌深夜まで丸一日かけて全曲を披露。また、2017年の録音は、この作品の決定版の一つと言われています。