親しみやすい作風から、管弦楽 / 室内楽 / オペラ / バレエ音楽など、どの分野においても高い人気を誇っているロシアの作曲家、
ピョートル・チャイコフスキー。そのチャイコフスキー作曲のバレエ作品『白鳥の湖』をもとに、イギリスの演出家マシュー・ボーンが新しい解釈を加えた『マシューボーンの白鳥の湖』が、青山劇場にて5年ぶり3度目となる来日公演を開催しています。
ダンス / 演劇 / ミュージカル界を席巻する鬼才
マシュー・ボーンによる本作は、1995年ロンドンにて初演され、バレエ史上初の4ヵ月公演というロングラン記録を打ち立て、98年にブロードウェイ進出。そして99年度のトニー賞にて、最優秀ミュージカル演出賞、振付賞、衣裳デザイン賞の3冠に輝いたほか、ローレンス・オリヴィエ賞など30以上の賞を受賞しています。
日本にも2003年と2005年に来日し、「男性ダンサーが踊る白鳥」として大ヒットを記録した『マシューボーンの白鳥の湖』。作中では、自分に欠落しているものを求め、憧れの対象を見つけた王子が、それを手にできない苛立ちと絶望感を感じる姿を、切ないまでの演出で描き切っています。また、すべてを貫くスピード感と圧倒的運動量を誇るダンス、意表をつかれる演出が楽しいダンス・シーン、白鳥の踊りはダンサーたちの息づかいもセクシーなほどの臨場感、そして、こだわりの演出が随所にちりばめられ、気がつけば夢のような世界へと引き込まれています。
公演初日は「王子」役に愛らしい青年としての魅力を持つドミニク・ノース、「ザ・スワン / ストレンジャー」役に野性的で不良的な雰囲気を醸し出すジョナサン・オリヴィエがキャスティングされ喝采を浴びました。この2人も本公演中にファンを増やしそうですが、2010年5月に公開されたロンドン初の3D映画『Street Dance 3D』において、主役に抜擢されたリチャード・ウィンザー(ザ・スワン / ストレンジャー役)や、マシュー・ボーン作品ではおなじみのサム・アーチャー(王子役)も公演毎にキャスティングされており、違った趣で演じてくれそうなキャラクターとして楽しみです(キャスティングの発表は公演当日に劇場にて発表)。
『マシューボーンの白鳥の湖』の日本公演は6月27日(日)まで東京・青山劇場(表参道/渋谷)にて公演中なので、ぜひお見逃しなく。詳しくはオフィシャル・サイト(
http://swan2010.jp)、電話での問い合わせはキョードー東京<03-3498-6666(朝10時〜夕方6時)>まで。
Photo by Seto Hidemi (c)