彼らのディスコグラフィーのなかでもソウル / ディスコに寄ったアルバム『The Main Thing』から「Paper Cup」。90'sギターポップ、ネオ・アコースティックのような爽快さを持つ「Water Underground」へ。同じニュージャージー出身のバンド、ザ・フィーリーズを思わせる疾走感たっぷりの「Say No More」のグルーヴィーなベースラインに体が反応せずにいられない。
オーディエンスの温かい声援と拍手に応えてアンコールに登場した5人は、2009年のファースト・アルバム『Real Estate』収録の「Suburban Dogs」をプレイ。初来日からバンドをサポートしてくれているファンへのプレゼントとも言えるナンバーに続き、2014年の『Atlas』のオープニングを飾る「Had To Hear」。終わってみれば、エルトン・ジョンのカヴァー「Daniel」など、これも聴きたかった!という曲も少なくないけれど、最新アルバムからの7曲を中心に、これまでの6枚のアルバムをすべて網羅。ブリージンなギターポップを基調アルバムごとにゆるやかなグラデーションが施されたバンドのディスコグラフィーをたどるようなセットとなった。あっと驚くような仕掛けや派手な演出はないかもしれない。しかし、いつでも帰って来られる、ついつい手に取ってしまう楽曲たち。きっとこのあともこの夜のセットをまとめたプレイリストをことあるごとに聴くことになるだろう。バンドのエヴァーグリーンな輝きがたっぷり詰まったステージだった。