7月20日にリリースされた
『佐村河内守:交響曲第1番「HIROSHIMA」』(COCQ-84901)が、クラシック作品としては稀にみるヒットを記録しています。発売翌日の時点でオリコン・デイリー・チャートのアルバム総合第46位、クラシック部門第1位を獲得。amazonでもクラシック・チャート第2位を記録しました。
佐村河内守(さむらごうち まもる)とは、一体どのような人なのでしょう?
1963年、被爆二世として広島に生まれた佐村河内は、10歳の頃より作曲家を志すものの、高校時代より激しい偏頭痛を患い、35歳で全聴覚を失いました。
聴覚という、作曲家にとってもっとも大切な機能を失った作曲家。楽聖ベートーヴェンと同じ境遇の作曲家が現代に生きていることに、まずは驚かされます。そして、想像を絶する苦しみのただ中で、佐村河内はただひたすらに筆を取り、作曲を続けるのです。心身を蝕む頭鳴症と全聾の闇の中で、一から作り出した曲、それが交響曲第1番「HIROSHIMA」です。
この交響曲第1番「HIROSHIMA」は、なんと演奏時間80分超、100人近くにおよぶ大編成のオーケストラによる壮大な楽曲です。
今のご時世に、巨大な交響曲というクラシック音楽の花形にして王道の形式に、真正面から立ち向かった作品というのは間違いなく稀有です。当然、尋常ならざる体力を要するでしょうし、なによりすべての時間と身体をこの作品に注ぎ込まなければ完成できない作品であることは間違いありません。
昨年夏に京都で行なわれた全曲初演の際には、日頃クラシックの演奏会には来ないであろう客層で会場が満員に。そして、その聴衆が80分の大作を息をのむ静寂とともに聴取し、演奏終了直後は万雷の拍手に至ったそうです。
作家の
五木寛之、作曲家の
吉松隆、指揮者の
大友直人も、佐村河内の作品を絶賛しています。
「ヒロシマは、過去の歴史ではない。
二度と過ちをくり返さないと誓った私たちは、いま現在、ふたたびの悲劇をくり返している。
佐村河内守さんの交響曲第一番《HIROSHIMA》は、戦後の最高の鎮魂曲であり、未来への予感をはらんだ交響曲である。
これは日本の音楽界が世界に発信する魂の交響曲なのだ。」
五木寛之(作家)
「あまりにも異形であまりにも巨大。しかし何より重要なのは、この大作が確かに聴く人の心を突き動かすということだ。」
吉松 隆(作曲家)
「壮大なスケール感をたたえながら、細部の一音一音にまで魂のこもった音が書き込まれている。
作曲家の、深い思いから生み出された「祈り」と「希望」の音楽とも言えるでしょう。」
大友直人(指揮者)
多くのTV番組でも佐村河内の壮絶な人生と音楽が取り上げられ、話題は今後ますます大きくなっていきそうです。21世紀に現れた奇跡の作曲家、ぜひご注目ください。