すべての聴力を失い、壮絶な人生を歩んできた作曲家、
佐村河内守の
『交響曲第1番「HIROSHIMA」』(COCQ-84901)は、今年7月に発表されるやいなや大きな反響を呼び、現代の作曲家による“非現代音楽”的な作風がクラシック音楽界に衝撃を与えました。それに続く佐村河内作品集の第2弾
『シャコンヌ〜佐村河内守 弦楽作品集』(COCQ-84928 税込2,940円)が1月18日にリリースされます。
アルバム冒頭に収められた「無伴奏ヴァイオリンのためのシャコンヌ」は、
バッハによる歴史的名曲以来、神聖にして冒すべかざるジャンルと思われてきた音楽に、佐村河内が真正面から挑んだ作品。まさにバッハを髣髴とさせる第一主題は、先に作曲された「ヴァイオリンのためのソナチネ 嬰ハ短調」の第二主題から派生したもの。シャコンヌの変奏曲形式を踏まえつつ、ヴァイオリンのあらゆる奏法を駆使しながら、バロックではありえない遠隔的な転調、激しいテンポ変化など斬新な演奏が繰り広げられ、それが最初のテーマ(バッハに倣い、最後に回帰する)と見事に融合する、きわめて現代的なシャコンヌです。
「ヴァイオリンのためのソナチネ 嬰ハ短調」は、先天性四肢障害(右上腕欠損)で生まれた少女(大久保美来:11歳)のために作曲されたもの。彼女はヴァイオリン演奏用の特殊な義手の先に弓を装着し、見事にヴァイオリンを弾きこなします。佐村河内と師弟契約を結んだことを機にプロのヴァイオリニストを目指すことを決意しました。
そして2曲の「弦楽四重奏曲」は、もともと3連作として構想されながら、第2番を書き終えた時点で完結してしまったのだそうです。この第1番と第2番は非常に対照的で、第1番は佐村河内にしてはきわめて“現代音楽”的な書法が多用されており、無調的、超絶的、前衛的な筆法も厭わない作風です。それに対して第2番は全楽章がアダージョで、調性的にも旋律的にも、美しく清廉な印象をもたらします。この著しいまでのコントラストは、言うまでもなく絶大な効果と説得力を生み、調性音楽を基盤にした佐村河内だからこそできる究極のコントラストだと言えるでしょう。
2月29日(水)には、東京・Hakuju ホールでCD発売記念コンサートも開催されます。交響曲第1番「HIROSHIMA」に続き、大きな衝撃と感動を与えてくれることでしょう。
※1月18日発売
『シャコンヌ〜佐村河内守 弦楽作品集』(COCQ-84928 税込2,940円)
[収録曲]
01. 無伴奏ヴァイオリンのためのシャコンヌ
02. ヴァイオリンのためのソナチネ 嬰ハ短調
03. 弦楽四重奏曲第1番
04. 弦楽四重奏曲第2番
[演奏者]
大谷康子(vn)藤井一興(p)
大谷康子弦楽四重奏団
[録音]
2011年9月24〜26日 武蔵村山市民会館さくらホール