佐藤竹善(
Sing Like Talking)のソロ・デビュー30周年記念ツアー〈Solo The 30th ALIVE and KICKIN' 2024〉が、8月3日に東京・Zepp Hanedaで幕を開けました。
残すところ愛知・名古屋 Zepp Nagoya公演(8月9日[金])、大阪・Zepp Namba公演(8月10日[土])の中、最終日である大阪公演のライヴ配信が決定。30周年を記念するスペシャルなライヴをお見逃しなく。
さらに、10月30日(水)に、昨年Sing Like Talkingのデビュー35 周年を記念して行われたライヴ〈Sing Like Talking 35th Anniversary “OFF THE CHAIN”〉の映像作品の発売が決定。発売を記念して、メンバー登壇トークショーも行う映画館での先行上映会も開催されます。
また、11月からスタートする毎年開催の佐藤竹善〈Your Christmas Night 2024〉の日程も発表されました。今後の佐藤竹善 / Sing Like Talkingに関しては、公式サイトをご確認ください。
[ライヴ・レポート] 待たれていた公演だ。佐藤に言わせれば「前回のソロ・ツアーが何年前だったか忘れてしまいました」ということになるのだけれど、ファンからすれば、それだけ長く待つ時間を過ごしたわけで、だからこそ初日のこの日のチケットはソールドアウト。佐藤も、その想いに応えて、質、量ともにたっぷりのステージを披露した。
その演奏を支えたのはR&Bベースのタイトなライブ・パフォーマンスがじわじわと支持を広げている注目の4人組、Neighbors Complain(NBCP)。佐藤と彼らは、去年、今年と2年続けて対バン・ツアーを行い、そのなかで5人での演奏も重ねて、ひとつのバンドとしての一体感とオリジナルな個性を築き上げてきた。それだけに、ツアー初日ながらすでにすっかり出来上がったバンド・サウンドを1曲目から炸裂させ、総立ちとなった客席を引き締まったグルーヴで揺らせていった。
最初のMCで佐藤が宣言したのは、曲をたくさん演奏するということ。「考えたんです。MCを中心にするのか(笑)、曲を中心にするのか。でも、コンサートですからね。話したいことはいっぱいあるんですけど、今日はたっぷり曲をやりたいので、皆さんもゆっくり楽しんでください」と言いながら、曲の数だけ、そこに込めた思いがあり、忘れられないエピソードがあるから、やはりMCは長くなる。そして、節目のツアーだから、今まで一度もライブでは演奏したことがない曲も披露。オリジナル曲を並べた前半だけで、お腹いっぱいになるような濃密さだったが、そうしたオリジナルと同じ熱量で洋邦の佳曲を独自の視点でピックアップしてカバーし続けてきた佐藤のソロ・キャリアの真骨頂を伝える後半のステージは、さらに濃厚な内容だった。
フルオーケストラと共演した曲を聴かせ、CMでもお馴染みのファレルによるフューチャー・ポップはNBCPと練り上げたバンド感とコーラス・ワークによってアップデイトされた、まさにオリジナルなファンク・チューンに。話題のCM曲もまさかの生披露となり、デビュー前から現在に至る、佐藤の音楽性の広がりを駆け足で辿ることにもなった。そしてクライマックスは、昨年のコンサートでステージ4のがん治療からの生還を報告してファンを驚かせたSing Like Talkingのギタリスト、西村智彦がサプライズ出演。佐藤のアニバーサリー・ステージに華を添えた。
アンコールの最後に「これからも、もっともっと自由にやっていきますので、Sing Likeとともどもよろしくお願いします」と結んだ佐藤が、まさに自由に、そして真摯に、独自の音楽ビジョンを突き詰めてきた彼のしなやかでタフな情熱をも堪能した3時間のステージだった。