佐藤 玲と
笠松 将をダブル主演に迎えた井上康平監督による長編映画「ドンテンタウン」が、7月17日(金)より東京・アップリンク吉祥寺ほかにて全国順次ロードショー。公開に先駆け、ポスター・ヴィジュアルおよびコメントが公開されています。
本作は、引っ越したシンガー・ソングライターのソラと、贋作画家として日銭を稼ぐ青年トキオをカセットテープが繋ぐ、交わるはずのない2人を描いたひと夏のポップで奇妙なニュータウン・ムービー。ソラ役は、『
泣くな赤鬼』『
殺さない彼と死なない彼女』『
架空OL日記』などで知られる若手実力派・佐藤 玲。トキオ役は、「花と雨」「転がるビー玉」など出演作が相次ぐ、今注目の俳優・笠松 将が務めます。メガフォンをとったのは、本作が初の長編映画となる新鋭・井上康平。また、ミュージシャンの
菅原慎一が映画劇伴を担当します。
[コメント]雲に覆われた空は、なにかを明るみに引きずり出そうともせず、かと言って涙をカモフラージュしてくれるわけでもなく、ただただ“いつかの私”をじっと思い出させてくれる。私にとってのソラちゃんは、その“いつかの私”をそのまま真空パックしたような子でした。なんとも言えないダサさです。スタッフ・キャスト、とにかく笑いながらも、その一瞬を絶対に逃すもんかという気合いを共有しながら、でも驚くほど穏やかに過ごしました。素晴らしい音楽を心の軸に、笠松さんやキャストの皆さまとのやりとりに素直に、そして監督と一緒にイメージを形作りながら、それはとても居心地のいい作品になりました。きっと多くの方の心に寄り添ってくれると思います。――佐藤 玲劇場で映画を観てもらうという行為に、
改めて色んなことを思います。
自分の振る舞いや考え方も、
前とは少し違ってきている様に思います。
何はともあれ劇場公開。
お時間あれば是非!――笠松 将僕が生まれ育った千葉の新浦安近辺は、埋立によって人工的に作られた。35年ほど前から開発がはじまり、マンションがちょこちょこ建ちはじめ、両親は第一世代としてこの街に入居した。最初の数年は、野良猫はおろかセミや虫たちもいない、静かなコンクリートだけの街だった。
僕はこのどこか現実味のない不思議な場所で育ちながら、ゆっくりとアイデンティティを身につけていったが、自らの生み出す作品や表現が、他の誰かの創作や想いに繋がっていくとは思っていなかった。
なので井上監督から「この映画には菅原さんしかいないという強い思いでメール差し上げました」という連絡をもらったとき、まるで自分の人生を肯定してくれるようで嬉しかった。
監督は映画を撮り進めながらふと、「この作品はSFなんです」と言った。僕はこのSFの“F”はFictionではなくFantasyだと思っている。それは、偽りのない何よりもリアルなファンタジーだ。
これまでずっと大事にしてきた想いを、ふたたび音楽に乗せてこの映画に託せることができて光栄だ。――菅原慎一(音楽)
白黒だけじゃない、大人のグレーな部分を知ったとき、見上げた空が曇り空だった。そんなモヤのかかった「曇天しかない街」に住んでいる登場人物は空を見て何を思うのだろうか。超個人的な今の想いを映画に残したいという一心でこの作品を撮りました。ぼくの向こう見ずでがむしゃらな想いに応えてくれた佐藤さん、笠松さんをはじめとするキャスト、スタッフ、同じ視座で映画に音楽を産み落としてくれた菅原さん、先の見えない世の中でも公開に向けて動いてくれた全ての人たちに心から感謝しています。言葉だけじゃ伝わらない空気や温度、団地の匂いや、人々のやりきれない想い、その全てを眺めるようにこの映画に詰め込みました。
今は曇りでも、次の晴れ間を信じる人に届くことを願って。ぜひ劇場にてご覧いただきたいです。よろしくお願いいたします。――井上康平(監督)
©2019 osampo/MOOSIC LAB