2000年代に活動していた北欧ノルウェーのスクリーモ・バンド、
スノーラス(Snöras)のコンプリート・ディスコグラフィ
CDBOXが、日本のレーベル「3LA -LongLegsLongArms Records」より8月16日にリリースされました。
長らく日本では手に入りづらかった作品でもあり、『Heart Of Weakness』と『Plague Waters』について日本語対訳が付属することにも意義のある本作。今回、ディスコグラフィーBOX化計画を進めるにあたって、2015年に僅か45本のみでカセットリリースされた『Life In The Gutter』もCD化し収録されています。
レーベル主宰者もお気に入りのバンドだというスノーラスは、2006年に1stアルバム『Heart Of Weakness』をリリースしシーンに登場。世界同時多発的にさまざまなスクリーモ・バンドが登場していた中でも、スノーラスの生み出す混沌としながらも悲哀に満ちた表現には日本のリスナーからも大きな評価を得ました。前情報が何もなく謎のバンドという印象だった同バンドのサウンドの正体が、ほとんどYngve Hilmoただ一人によって作られていたということが判明。「3LA」主催者曰く、そのサウンドが、全てにおいて統一感のある表現で貫かれているのも納得させられたとのこと。供給が限られるアンダーグラウンド・シーンでの流通の中、『Heart Of Weakness』のCDは中古市場で高騰していきました。
続く2008年の2ndアルバム『Plauge Waters』も、サポートメンバーが参加しているとはいえ、基本的にはYngve Hilmoのソロ・プロジェクト形式が貫かれている作品。ただネガティブな感情発露と悲壮感の強い1stに比べるとポジティブにエネルギーが向いていると感じさせる箇所もあり、陰と陽を司るような2枚で1つの作品かのようにも思える作品に。実際、2009年のレコード・リリースでは『Heart Of Weakness』と『Plauge Waters』がそれぞれA面、B面に収録されています。カオティックな曲展開や硬質で美しく響く弦楽器のアンサンブル、北欧の美しいスクリーモを提示したSuis La Luneにも通じる雰囲気がありつつも、スノーラスの冷たい温度感で奏でられる激情的なハードコアというのは彼らのローカルならでは。バンド名の“Snöras”はノルウェー語では「雪崩」を意味しますが、まさに北国ならではの言葉でもあり、そのサウンドを的確に表現しています。
そして、2015年にカセットで発表された『Life In The Gutter』は、『Heart Of Weakness』と『Plauge Waters』に続く3部作の完結編という位置付け。質素で派手さの無いデモテープのような作りとなっています。
また、このコンプリート・ディスコグラフィの日本語の対訳についてはブックレットにオリジナルの歌詞とともに掲載。『Life In The Gutter』を除いた『Heart Of Weakness』と『Plauge Waters』が全訳されており、バンドの歌詞を日本語で表現した初めてのテキストとなる見込み。2作品の性格の違いみたいなものが、歌詞の中でも的確に表現されているのでこちらもあわせて楽しんで頂きたいところです。
なお、「3LA」のnoteにてYngve Hilmoのインタビューが掲載されています。こちらも是非チェックしてみて下さい。