東京オルタナ / グランジの希少種バンド“
SPOILMAN”が、2月28日(金)にリリースした6thアルバム『
OBLIVION TRACKS』より、収録曲「Open Sesami!!」のミュージック・ビデオを公開しています。
リリース元のレーベル「3LA」は、SPOILMANの音楽を「安物」と言います。「彼らは1万円の格安ギターを愛用し、自分たちのアンプを一台も持たず、余計なエフェクトペダルを一切使用しないが、そこには哲学も思想もない。あるのは鍛え抜かれた強固な演奏力で繰り出される竜巻のようなアンサンブルと独特の響きで叩きつけるバンドサウンドだけだ。しかしそれで十分なのだ。彼らはオルタナティブ・ロックバンドなのだから」と。
SPOILMANの制作ペースははやく、2023年に『
COMBER』『
UNDERTOW』『
BASTERD NERD PIG』と3枚のアルバムをリリースし、2024年には90分に及ぶ公民館でのライヴを完全収録した2枚組ライヴ盤CD『
20231223 Live at 滝野川西区民センター』を発表。その間膨大なライヴ・イベントを敢行しながら、水面下でレレコーディングを進め、2025年には『OBLIVION TRACKS』を完成させました。
アルバム発売日の2月28日には、SPOILMANならではの中毒的なギターフレーズで幕開ける「Daydreams' Dance Drill」の、衝撃的な流血メイクとパジャマ姿での演奏シーンを捉えたMVが公開。そして3月6日の夜、「Open Sesami!!」のMVが公開され、3月13日(金)にも「Majestic Farce」のMVが公開予定となっています。
『OBLIVION TRACKS』は、キラーリフを硬質なサウンドで刻むギター、切れのあるリズムとビートが織りなすアンサンブルにより磨きがかかっているほか、オルタナティヴの意味を今一度問いただすような一作。
「3LA」は、「本作に収録された楽曲達は、激しくも時に怪しげに、そして惜しげもなく幾多のアイデアと共に鳴らされる。それは彼らのルーツであるポストハードコア、グランジ、ノイズロックといった90年代を軸としたサブジャンルを起点にしつつもジャンルも時代も自由に横断しながら、ロックとはなんたるかを改めて提示していく。強烈なギターリフとラフなバンド演奏による爆発。身の丈に合わない高価な機材は必要なく、アイデアとスキルで勝負する」とし、「確かにSPOILMANは日本国内でオルタナティブ・ロックと呼ばれているバンド達とは明らかに異なる存在だが、しかし既存の慣習に対して別の価値観を提示することこそがオルタナティブの意義だ。人々は本当のオルタナティブの意味を忘れてしまったのか?『OBLIVION TRACKS』=「忘却の軌跡」を意味するこのアルバムが、再びその意義を問うだろう」と説明しています。
現在、SPOILMANは韓国ツアー中。帰国後も3月23日(日)の東京・早稲田「RiNen」をはじめ、ライヴが続きます。詳細は、SPOILMANのオフィシャル・サイトをご確認ください。
[3LA作品紹介文全文] オルタナティブ・ロックとは何か、SPOILMANの音楽は「安物」だ。彼らは1万円の格安ギターを愛用し、自分たちのアンプを一台も持たず、余計なエフェクトペダルを一切使用しないが、そこには哲学も思想もない。あるのは鍛え抜かれた強固な演奏力で繰り出される竜巻のようなアンサンブルと独特の響きで叩きつけるバンドサウンドだけだ。しかしそれで十分なのだ。彼らはオルタナティブ・ロックバンドなのだから。
SPOILMANのこれまでの活動は、グランジや硬質なオルタナティブ・ロック、ポストハードコアを好む一部のコアリスナーの間で絶大な支持を得るが、カルチャーを嗜む中産階級層を中心とする音楽メディアから評価されなかった。故に2019年のバンド結成以来、無冠のバンドのままだ。制作ペースは速く2023年には3枚のアルバムをリリースし、2024年には90分に及ぶ公民館でのライブを完全収録した2枚組ライブ盤CDをリリース、ライブバンドとしての評価を決定づけた。その後も膨大なライブ本数を重ねつつ水面下でレコーディングは進行しており、2025年遂に本作『OBLIVION TRACKS』を完成させた。本作は確かに「安物」には違いないが間違いなく「本物」である。そしてこれまでのSPOILMAN作品群とは決定的な違いがある。恐ろしいほどの完成度、隙の無さ、誤解を恐れず言うならば「ポップ」なのである。
ポップとは何か? 美しいメロディや耳馴染みの良いサウンドだけがポップだろうか。違う、それら大衆的な要素はポップの一側面に過ぎない。ポップとは越境性だ。日本オタクカルチャーが国境や人種を越境していったように、異なるジャンル・属性を超えて広く訴えかける普遍性を宿したものだ。本作に収録された楽曲達は、激しくも時に怪しげに、そして惜しげもなく幾多のアイデアと共に鳴らされる。それは彼らのルーツであるポストハードコア、グランジ、ノイズロックといった90年代を軸としたサブジャンルを起点にしつつもジャンルも時代も自由に横断しながら、ロックとはなんたるかを改めて提示していく。強烈なギターリフとラフなバンド演奏による爆発。身の丈に合わない高価な機材は必要なく、アイデアとスキルで勝負する。確かにSPOILMANは日本国内でオルタナティブ・ロックと呼ばれているバンド達とは明らかに異なる存在だが、しかし既存の慣習に対して別の価値観を提示することこそがオルタナティブの意義だ。人々は本当のオルタナティブの意味を忘れてしまったのか?『OBLIVION TRACKS』=「忘却の軌跡」を意味するこのアルバムが、再びその意義を問うだろう。