3月にこれまで発表してきたデュエット / コラボレーションから選曲して一枚にまとめたアルバム『デュエッツ』をリリースした
スティング(Sting)が、オリジナル・アルバムとしては『
ニューヨーク9番街57丁目』(2016年)以来5年ぶりの新作となる『
ザ・ブリッジ』を11月19日(金)に発表します。アルバムからの1stシングル「イフ・イッツ・ラヴ」が公開中です。
『ザ・ブリッジ』は、作曲家としてのスティングの多才で多様な能力を示すと同時に、その比類なきキャリアを通じて探求されてきた、さまざまなスタイルやジャンルを反映する作品となっています。世界的規模のパンデミックにより人命が奪われ、人と人が離れ離れになり、混乱とロックダウンと未曾有の社会的 / 政治的混乱に見舞われた1年間に書かれた曲を収録。制作 / 録音の多くをリモートで行なわざるを得なかった今作のテーマは、離れ離れになった人々の間に橋を架けること。当初からテーマを決めていたわけではないが、制作の過程でなるべくしてなったそうです。
多くのコンセプトやテーマを探究する本作において、“橋(ブリッジ)”が意味するものは、異なるアイディアや文化、大陸、時には川の岸辺をつなぐ、永続的に進化し続けるリンクで、それはまた、過去につながる道でもあります。スティングはアルバムについて「これらの曲は、ある場所と別の場所、ある精神状態と別の精神状態、生と死、人と人の関係、そういったすべての“間”にあるものだ。このパンデミックと時代の間に挟まれ、政治的にも社会的にも心理的にも、僕らは、何かの真ん中で立ち往生している。架け橋が必要なんだ」とコメントしています。
ロックンロール、ジャズ、クラシック、フォークなど、スティングがこれまでのキャリアを通じて用いてきた様々なスタイルやジャンルからインスピレーションを得たこのアルバムに収録されているのは、1曲目のロック・ナンバー「ラッシング・ウォーター」や新しい形のインディ・ポップとも言える「イフ・イッツ・ラヴ」などのポップ・ロック曲から、くすんだエレクトロニック・バラード「ラヴィング・ユー」、スティングの代表作「フィールズ・オブ・ゴールド」の時代を彷彿とさせるロマンティックな「フォー・ハー・ラヴ」まで、どれもスティングの真髄ともいえるサウンドばかりです。
シングル曲の「イフ・イッツ・ラヴ」は、一流メロディ・メイカーとしての才能が証明される、アップビートかつ爽やかで癖になるポップ・チューン。一発でスティングとわかる声で、ストレートなラヴ・ソングとは異なるアプローチで恋愛感情を捉え、自分の症状を医者に電話することにたとえて歌に乗せています。「恋をし、恋に破れながらも、恋につける薬がないと歌うソングライターは、けっして僕が初めてではないし、最後でもない。〈イフ・イッツ・ラヴ〉は、僕がその仲間入りをした一曲であり、恋における比喩的な症状や診断、そして恋を前にしたどうにもならない無能力さは、弱々しく微笑まずにはいられないほど、誰にとっても身に覚えのあることだ」。
ロックダウン中の昨年1年をかけて制作 / 録音された本作。スティングはミュージシャンたちをリモートで集め、作業を進めました。メンバーは
ドミニク・ミラー(g)、
ジョシュ・フリース(ds)、
ブランフォード・マルサリス(sax)、
マヌ・カチェ(ds)、マーティン・キーゼンバウム(key)、フレッド・ルノーディン(シンセサイザー)、バック・ヴォーカリストのメリッサ・ムジーク、ジーン・ノーブル、
ジョー・ローリー、
ライラ・ビアリ。 プロデュースはスティングとマーティン・キーゼンバウムが手掛けています(1曲のみ、スティング、
マヤ・ジェーン・コールズ、マーティン・キーゼンバウム)。
Photo by Eric Ryan Anderson