ドキュメンタリー映画『アニメ師・杉井ギサブロー』の公開を記念し、さる8月5日(日)に東京・銀座シネパトスで、本作の被写体となった
杉井ギサブロー、そして
石岡正人監督によるトークショーが行なわれました。
石岡監督は本作へのきっかけとして「ひとつは、絵を動かすということをドキュメントしてみたいと思った、もうひとつは、杉井さんと雑談していて面白い話がたくさんあって撮りたいなと思った」と語りつつ、「しかし実際には、カメラが回りはじめると(杉井が)“僕はしゃべらないよ”って感じで大変だった」というエピソードを披露!
杉井は、
手塚治虫のもとで『鉄腕アトム』を作ったことについて、「『鉄腕アトム』はショックでしたよね。アニメーションやらなくていいんだということで、すごく自分の中で広がったんです。それまではアニメーションという技法に合った企画をやってきたわけですが、絵を動かさなくていい、アニメーションをやらなくていいなら、アニメーションという技法を使って何でもできると感じたんです。自分が仕事をする時にはアニメーションにこだわらない方が面白い、こだわっている間はたいしたことできない」、
宮崎 駿については、「宮崎さんの一番の貢献は、作家性というより、アニメーション映画をきちっと作ったときに回収できるんだという実績。1話30分のアニメを1,000万円以下で製作され、劇場用アニメの予算は3000万〜5000万円となってもおかしくはない時代。宮崎駿監督が初めて劇場用アニメを作った時には1億円以上という予算がかけられたが、それが成功した今、アニメーション映画には3億から5億円の製作費を提示したとしても投資家は、事業として、投資としてもあり得ると思わせたのが宮崎さんじゃないですか」と語る場面も。
そして本作に寄せて、「本当は恥ずかしいんだよねぇ。雨の中、しかも歩きながら話をするから、つい本当のことを話しちゃう。カメラ持っていた助手の人なんか手と足と動かなくなっちゃった。僕も、雨は降ってて傘を持ってて面倒くさいし、その時になんか言われるわけだから、つい言っちゃうじゃない。普段あんな顔をして生きているわけじゃないんですけど(笑)。ほとんどあの寒さのなかで、意味ありげに撮られているんじゃないかなという、あの辺が石岡さんの巧いところですよね。石岡監督のドキュメンタリストとしての真髄を見せてもらいました」と言葉を寄せています。