SWARRRMが、6thアルバム『
ゆめをみたの』を2月26日にリリースしています。
結成20年を超え、長くその活動を続けながらもリリースペースを落とすどころか、近年さらに加速させているSWARRRMの創作意欲は止まることを知りません。ヴォーカリストとしてTSUKASAが加入後に制作された2枚のアルバム『
Flower』、そして『
こわれはじめる』では、それまでの彼らのシグネイチャーとされてきた混沌としたグラインドコアの中に、日本語歌詞の侘び寂びと歌心を組み合わせた独自のアートフォームを構築してきました。そして同時にSWARRRMは、これまでの過去の自分達が作り上げたサウンドを更新し、変化させ、その先に踏み込んでいくことを恐れませんでした。その変化ゆえ、時に賛否両論を巻き起こしながらも、その度にリスナーからの評価と信頼を作品の力で勝ち取ってきたバンドです。
そのエッジに立ち続けてきたバンドが放つ本作『ゆめをみたの』は、過去2枚のアルバムとはまた異なる性質、方向性を打ち出しながらも、混沌と美しさが鬩ぎ合う様はまさにSWARRRMであるとしか形容できない傑作アルバムに仕上がっており、前作で打ち立てた高いハードルをさらに超えた作品であると断言できます。
アルバム収録曲は、assembrageとのスプリット7inchに収録された「見えない場所だろうと」と、
ENDONとのスプリットCD『
歪神論』に収録された「涙」の2曲を含む全11曲で構成されますが、その1曲1曲が独立した作品性を保持しながら同時にアルバム全編を流れるドラマ性を強く感じさせる作りになっており、作品の前半部に配置された既存の2曲からは想像出来ないほどに中盤、後半に向けて捻れ、溶けていく流れは圧巻の様相を呈しています。構築、破壊、そして再生。バンドのこれまでの歩みそのものの如く、作品の中で蠢く音は変化を続け、生まれ変わり続けます。その混沌としたサウンドに呼応するかのような072のアートワークもまた見事で、陰と陽を行き来しながら“今のSWARRRMの音”を巧みな色彩と共に表現しています。サウンド、アートワークに加え、TSUKASAの持つ言葉とメロディが到達した表現の極み、それらが織り成す最新作『ゆめをみたの』は、“SWARRRMは常に最新作が最高傑作だ”という前作のリリース時に書き残した言葉を裏切らない作品となりました。