T.Mikawaと
Dissecting Tableのスプリット・アルバム『Reverberation』が2月16日(木)にデジタル・リリースされています。
美川俊治は1960年生まれの会社員、ではあるものの、
非常階段、
Incapacitants、
mn、GOMIKAWA、
MikaTen等のメンバーとして、長きにわたりノイズ即興を続け、また近年ではソロやその他の多くのアーティストとの共演という形でのライヴ演奏も活発に行っています。作品多数。
辻一郎は1966年生まれ。東京で86年から“Dissecting Table”という名義でノイズ・インダストリアル・ミュージックの制作を開始し、98年に故郷の広島に戻り音楽活動を展開。おもに自主レーベル「UPD organization」とヨーロッパとアメリカのレーベルよりレコードやCD作品を発表してきました。初期、中期の作品は、シンセサイザー、サンプラーをシーケンサーで制御することで作品を制作していましたが、2012年頃から、コンピュータでUSB接続デバイスから出力されるPWM信号を制御して音楽制作を行なうようになり、現在は、独自のシンセサイザーシステムを開発しながら作品を制作しています。
スプリット・アルバム『Reverberation』で美川と辻は、信号を変調するために様々な手法を用いました。アナログ音源にデジタル信号処理を用いる美川とアナログ信号処理とデジタル信号処理を用いる辻の曲は、明らかに異なりユニークです。美川は、近年、複数のオシレータ類等を手動で操作して行うライヴが観客に好評を博していますが、この作品では、そのライヴの録音を音源素材としてPCに取り込み、様々なアプリケーションを用いて変調させています。また、カットアップや重ね合わせも行うことで生み出される音色は、複雑かつダイナミックなものになっています。
辻は、独自のシンセサイザーシステムを開発しています。そのシステムは、主に、コンピュータ、universal serial bus(USB)接続デバイス、ラインセレクタ、フィルタ及び、ミキサーで構成されています。USB接続デバイスから出力されるpulse width modulation信号をフィルタで変調しています。アナログフィルタは、周波数変調や振幅変調などを行い複雑な音色を作ることができます。更に、アナログフィルタの出力信号は、デジタルフィルタに入力して変調しています。コンピュータで自動演奏してアナログフィルタを手動で操作しているため音色が一層豊かになっています。