近年のアナログレコード再評価の機運を受け、キング関口台スタジオが、28年の時を経て復活させたVMS70タイプのアナログカッティングマシンを設置しダイレクトカッティングによる録音サービスを開始。7月30日には同スタジオでデモンストレーションが行なわれ、チェリストの
辻本 玲、ヴァイオリニストの
米元響子、ピアニストの
上原彩子、オンド・マルトノ奏者の
大矢素子によるダイレクトカッティングが実演されました。
ダイレクトカッティングとは、録音した音源をその場でマスターに刻み込んでいくというアナログレコード制作方式。アナログテープやデジタルファイルなどの途中変換は一切なしに、録音スタジオの音がダイレクトに盤の溝へと刻まれる一発勝負となるため、アーティスト、エンジニアともに極度の緊張感が伴います。ダイレクトカッティングでの大規模なセッションが可能なスタジオとしては、キング関口台スタジオが国内で唯一の存在となり、世界でも英ロンドンのアビーロードスタジオでしかできないと言われています。
実演会は第1部と第2部の2部構成。第1部では、技術説明などを経て辻本の演奏によるデモンストレーションが行なわれ、その場でダイレクトカッティングされた盤を聴いた辻本は「いい意味で雑味がたくさん入っていて、いいなと思いました」とコメント。第2部では辻本、米元、上原、大矢が順に演奏し、ダイレクトカッティングならではの緊張感でスタジオが満たされました。
同スタジオでは、今回稼動したVMSタイプのアナログカッティングマシンに加え、キングレコード・オリジナル真空管アンプ式VMS66タイプのアナログカッティングマシンも復活途中。復活が実現すれば、同スタジオは1つのカッティングルームに2台のカッティングマシンが常設された、世界でも稀なスタジオとなります。