柳家小三治、豪華仕様の20枚組CD BOX『昭和・平成 小三治ばなし』(ソニー・ミュージックダイレクト / 7月21日発売)の発売記念イベント「令和三年 小三治の会」が、7月23日に東京・有楽町朝日ホールにて開催されました。
今回発売された『昭和・平成 小三治ばなし』は、1980〜90年代に鈴本演芸場 / 本多劇場で行われた独演会から、すべて今回が初CD化となる音源・23口演分を収録。40〜50代の小三治の口演や当時の貴重な写真等をたっぷり収めた「昭和・平成の集大成」ともいえる作品です。
650席のチケットは発売直後に即完売、満員の観客が詰めかけた会場は、緊急事態宣言下ならではの秩序が保たれながらも外の酷暑にも負けない静かな熱気に包まれていました。
愛弟子にして当代随一の人気落語家の一人である
柳家三三が前座として「しの字嫌い」を演じた後、満を持して小三治が高座に登場、少年時代の通学中に見たという、当時まだ花街だった頃の新宿二丁目の光景を語るまくらから語られたのは、これまで長く演じ続けている十八番のひとつである「錦の袈裟」。あちこち脱線しながらも惹きつけられずにいられないまくら、無駄な力を入れることなく落語の世界へと引き込んでいく本編と、小三治ならではの表現で客席を魅了しました。
仲入りを挟んでの後半は、今作を監修した制作プロデューサー・京須偕充との対談が行なわれました(司会を務めたのはやはり小三治の弟子である
柳家三之助)。2人の出会いやこれまでの録音についてなど、2人だからこそ語れる貴重なエピソードがたっぷりと語られました。初めて出会ったときに京須がドーナツを差し入れに持って行ったというエピソードにちなみ、トークの最後には小三治から京須にドーナツを贈る一幕もあるなど、めったにない機会に詰め掛けたファンも大いに盛り上がりました。
イベント終了後には囲み取材も行なわれ、記者からのさまざまな質問に、時に哲学的に、時に茶目っ気たっぷりに答えるなど、高座を降りた後も否応なく小三治ワールドに引き込まれる一時となりました。
昭和〜平成、そして令和となり、傘寿を超えてなお精力的に活動を続ける柳家小三治。その計り知れない魅力に改めて気付かされる一夜となりました。