作家・エッセイストとして活躍する五十嵐大の実録ノンフィクション『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと』(幻冬舎刊)を原作に、第38回モントリオール世界映画祭最優秀監督賞、キネマ旬報ベスト・テン1位に輝いた『
そこのみにて光輝く』、『
きみはいい子』等で国内外にて高く評価される
呉美保監督が、
吉沢亮を主演に迎え、『正欲』 『アナログ』の脚本も手掛ける港岳彦による脚本で作り上げた、映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』の公開が2024年に決定。
今年の9月に公開された『私たちの声』の一編、
杏を主演にシングルマザーの日常を描いた短編映画『私の一週間』で8年ぶりに監督作を発表した呉美保監督。そして今回、『きみはいい子』から9年ぶりの長編作品のテーマに選んだのは、コーダ(Children of Deaf Adults / きこえない、またはきこえにくい親を持つ聴者の子供という意味)という生い立ちを踏まえて、社会的マイノリティに焦点を当てた執筆活動をする作家・エッセイストの五十嵐大による実録ノンフィクション『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと』。耳のきこえない母ときこえる息子の物語を点描のように繊細に紡いでいきます。
脚本を担当したのは、『正欲』 『アナログ』、『
とんび』等を手掛ける港岳彦。そして、主演を務めるのは『
キングダム』シリーズ、『
東京リベンジャーズ』シリーズ等の話題作から、作家性の強い監督作等、幅広い作品に出演し、今年は6本の出演作品が公開するなど俳優としてチャレンジを続ける吉沢亮。本作でも難役に挑戦、耳のきこえない両親の元で育った息子・五十嵐大の心の軌跡を体現します。才能あふれるスタッフ、キャストによって紡がれる誰もが共感する母と息子の物語が2024年に公開されます。
[コメント]原作を読み、きこえない両親に育てられた五十嵐大さんの人生に触れ、コーダならではの情緒と葛藤に、まだまだ知らない世界はあるのだなと無知を学びました。
と同時に、親と子の極めて普遍的な感情にも触れ、自分自身の家族へのいつかの懺悔が一気に蘇り、これはマイノリティには留まらない、大いなるアイデンティティの物語だと、強く思いました。
久しく映画作りからは遠ざかっていましたが、いつか復帰できるなら絶対にこの方と、と勝手に心に決めていたのは吉沢亮さんです。彼の、繊細かつ制御された芝居の奥底にある魂の叫びを覗き見たくて、さらにはまだ見ぬ新しい吉沢亮に出会いたくて、9年ぶりの長編映画に臨むに至りました。――呉美保感情の内側までも表現してくれる手話は口以上に多くを語り、言葉とはただ吐き出すものではなく、伝えるものであると言う、当たり前であるはずのことを改めて教えてくれました。
コーダとして生まれた葛藤を抱えながらも、両親から沢山の愛を受けて育った五十嵐大さんの人生を、昔からご一緒したいと夢見ていた呉美保監督と共に丁寧に生きさせてもらいました。お楽しみに。――吉沢亮©五十嵐大/幻冬舎 ©2024「ぼくが生きてる、ふたつの世界」製作委員会