名盤発掘/紙ジャケ・コレクション文化が成熟した昨今、リマスター技術はとどまるところを知らず、再発されるたびに高音質化される名盤の数々。今回は音質向上技術「K2テクノロジー」を注入した高音質CD“K2HD-CD”にスポットを当て、その魅力に迫りました。
K2HD-CDは、「原音探求」を理念に掲げる日本ビクターとビクターエンタテインメントが開発した高音質化技術「K2High Definitionコーディング」を採用したCD。それってどんな技術? といえば、アナログマスターを192kHz・24bitのDVDオーディオフォーマットでデジタル化した音源を、44.1kHz・16bitのCDフォーマットに収めこむというもの。つまり、CDの数倍のスペックを持つDVDオーディオの音域をギュッと凝縮してCDに詰め込む、そうすることでアナログマスター音源に近い音が聴けるようになる、という発想から生まれた高音質CDです。2005年末よりリリースが開始され、現在までにビクターエンタテインメントより名盤の復刻作品150枚以上がリリースされています。
この技術によって、音に奥行きが出て音場感が広がる、デジタル的ではない自然な音場感が生まれる、というメリットを生み出すことに成功。従来に比べ、よりマスターテープに近い音像を再生できるようになりました。なによりも一般ユーザーにとっての最大のポイントは、機器を選ばないで高音質CDが楽しめる(CDが再生可能な機器でそのままかかる)という利点。専用プレーヤーがいらないどころか、この技術は音楽配信にも応用され、「net K2」として着うたにも適用されています。
ちなみに同じくK2テクノロジーを使った高音質CDにxrcdシリーズがあります。xrcdは20bit(または24bit)のマスターを使用し、マスターデータをカッティングする工程で16bitに落とし込んだCD。一方、その進化系のK2HD-CDはマスター作成過程で16bit処理を行ないます。ビクターの公式HPでは、両者の音質のイメージの差異を次のように説明しています。
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xrcd:マスターに近い、よりクリヤーで雑味のない音。
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K2HD-CD:アナログマスターおよびDVDオーディオマスターなどのハイスペックなマスターが持っている豊富な情報量で表現できる自然な音場感がある。
音の感じ方は人それぞれですが、昔なじんだ名盤を改めて聴いた時に“これは明らかに音が良い!”と思う瞬間はなんともいえない感慨深さを覚えるもの。今後も続々とリリースされるK2HD-CDに期待しましょう。
【K2HD-CDの近作 オススメ3選】
※ビクターエンタテインメント「K2High Definitionコーディング」HP:
http://www.jvcmusic.co.jp/k2hd/index.html ※ 記事は掲載日時点での情報をもとに書かれています。掲載後に生じた動向、および判明した事柄等は反映しておりません。ご了承ください。