10月14日は、1872年（明治5年）に日本で初めて新橋〜横浜（汐留〜桜木町）に鉄道が開業したことを記念して「鉄道の日」（制定時は「鉄道記念日」）となっています。音楽の世界でも“鉄道”はよく用いられるテーマのひとつとなっていますが、いくつか鉄道にちなんだ楽曲を、J-POPを中心に挙げていきたいと思います。

　CMソングをはじめとするタイアップ曲、駅を題材にした楽曲など、その数は膨大にありそうですが、まずはJR（旧・国鉄）のキャンペーン・ソングから。1978年から始まったキャンペーン「いい日旅立ち」に山口百恵が歌う「いい日旅立ち」が起用されると、84年から開始したキャンペーン「エキゾチック・ジャパン」に郷ひろみの「2億4千万の瞳」が抜擢。どちらも日本の音楽史に遺る大ヒット曲となりました。2003年にJR東海とのタイアップとして制作されたのが、TOKIOの「AMBITIOUS JAPAN!」。当初は2003年末にキャンペーン終了予定でしたが、同曲がシングルチャート1位を記録したりと予想以上の反響もあり、2005年9月までキャンペーンが延長されました。

　列車にまつわる楽曲では、1975年に野口五郎が「私鉄沿線」を発表。「甘い生活」ととも野口の代表曲として広く親しまれました。1977年の狩人のデビュー・シングル「あずさ2号」は、「8時ちょうどのあずさ2号で」という歌詞とともに、狩人を一躍スターダムにのし上げました。老若男女問わず愛されているのが、ゴダイゴの「銀河鉄道999」です。1979年に映画版『銀河鉄道999（The Galaxy Express 999）』の主題歌としてリリースされて以来人気を博し、EXILEをはじめ多くのアーティストにカヴァーされるなど広く親しまれています。THE BLUE HEARTSの「TRAIN-TRAIN」も同様。当時はドラマ『はいすくーる落書』の主題歌に起用されていましたが、のちに高校野球の応援歌の定番曲の一つにもなりました。2012年に東京メトロのCMソングに起用されたのが、斉藤和義の「メトロに乗って」。同曲はシングル「月光」のカップリングに収録されています。新潟を拠点とするNGT48には、実在（2016年当時）の上越新幹線の便名を冠した「Maxとき315号」という楽曲があります。

　“トレイン”系のタイトルをいくつか紹介していきましょう。アン・ルイス「恋のブギウギトレイン」は1979年に発表。吉田美奈子が作詞、山下達郎が作曲を手掛け、山下はセルフカヴァーもしています。ウィンター・シーズンになるとよく耳にするのが「Choo Choo TRAIN」です。1991年にZOOの4thシングルとしてリリースされ、JR東日本「JR Ski Ski」のCMソングに起用されたことから、定番ウィンター・ソングの仲間入りを果たしました。同曲は2003年にEXILEが10thシングルとして発売し、幅広い世代に愛される楽曲となりました。2015年にはPerfumeが22ndシングルとして「STAR TRAIN」（写真）をリリース。自身初のドキュメンタリー映画『WE ARE Perfume -WORLD TOUR 3rd DOCUMENT』の主題歌にもなっており、歌詞の内容からもPerfume自身やファンにとって特別な楽曲として人気となっています。2019年にはラストアイドルが「青春トレイン」を7thシングルとして発表しています。

　最後は“駅”にまつわる楽曲をいくつか。そのままズバリなタイトル「駅」は、竹内まりやが中森明菜へ提供し、1986年の中森のアルバム『CRIMSON』に収録。翌年には竹内がアルバム『REQUEST』にてセルフカヴァーし、シングルとしてもリリース。多くのアーティストにカヴァーされています。

　“終着駅”や実際の駅名を冠したものまで「〇〇駅」というタイトルは限りなくありそうですが、その代表の一つともいえそうなのがaikoの「三国駅」。aiko自身が通った大学の近辺にある大阪の阪急宝塚本線の実際の駅を舞台にした歌で、2005年にシングル・リリースされました。ゴスペラーズは新幹線のホームで名残惜しむ恋人をテーマにしたシングル「新大阪」を2003年に発表。オールド世代の“心の応援歌”として知られているのが、井沢八郎の「あゝ上野駅」。高度経済成長期の世相を映した代表曲としてヒットし、同曲は上野駅にて一部ホームの発車メロディにも使われています。角松敏生「この駅から…」、河合その子「青いスタスィオン」なども“駅”楽曲といえます。

　上記に挙げたのは、ほんの序の口に過ぎません。たとえば、演歌・歌謡曲にはかなり多くのタイトルがありそうです。鉄道の日をきっかけに、好みのアーティストやジャンルなどから鉄道にまつわる楽曲やフレーズを探してみるのも、面白いのではないでしょうか。