80年代に女性パイロットが登場するTV-CMで思い浮かぶのは、ノエビア化粧品のCM「働く女性は美しい」シリーズでしょうか。洋楽のヒット・ソングに乗せて、飛行機やヘリコプターが滑空するシーンやそれらを操縦する女性パイロットの凛々しい姿を映し出しながら、女性の美意識にアプローチしたCMは、当時も話題になりました。
このノエビア化粧品のTV-CM「働く女性は美しい」シリーズは、1982年から87年までの5年にわたってシリーズ化。当時のチャートを賑わせたり、話題を集めた楽曲を次々と起用する人気CMとして親しまれました。
このシリーズに使われた楽曲を挙げていくと、
シーナ・イーストン「A Little Tenderness」「Machinery」、
バリー・マニロウ「You're lookin' hot tonight」(邦題「君はルッキン・ホット」)
、ジョージ・ベンソン「Feel Like Making Love」(邦題「愛のためいき」)、
メリサ・マンチェスター「City Nights」、
デヴィッド・ボウイ「Without You」「Blue Jean」、
カルチャー・クラブ「Don't Talk About It」、
フレディ・マーキュリー「I Was Born To Love You」(邦題「ボーン・トゥ・ラヴ・ユー」)、
ティアーズ・フォー・フィアーズ「Everybody Wants To Rule The World」(邦題「ルール・ザ・ワールド」)というように、話題曲が目白押し。時には、USやUKといったメイン・シーンではない、「Ti sento」というイタリア・ジェノヴァ出身のポップ・バンド、
マティア・バザールの楽曲が起用されたこともありました。ちなみに、マティア・バザールは、サンレモ音楽祭で歌った「ローマの休日」で話題を呼び、アルバム『Tango』がヒット。日本でも人気を博し、来日も果たしました。
CMシリーズ終盤には、
ジェネシス「Invisible Touch」や
エイス・ワンダー「When The Phone Stops Ringing」(邦題「浮気なテディボーイ」を起用。「Invisible Touch」は、全米3位、全英1位を記録して全世界で1,500万枚を売り上げたジェネシスの86年発表のアルバム『
インヴィジブル・タッチ』(写真)のタイトル曲で、「Invisible Touch」自身も全米1位を獲得。日本では22年にわたり朝のワイドショーの顔となっていた長寿情報番組『とくダネ!』のテーマ・ソングとして耳にした方も少なくないのではないでしょうか。
「When The Phone Stops Ringing」は、女優でも活躍した
パッツィ・ケンジットがヴォーカルを務めるバンド、エイス・ワンダーが87年にシングル・リリース。エイス・ワンダーは、本国イギリスよりも先にイタリアや日本で人気を博し、フジテレビのキャンペーン・ソングに起用された「Stay with Me」はイタリアチャート1位を獲得。「When the Phone Stops Ringing」リリース後も「I'm Not Scared」がイタリア1位となりましたが、その人気が本国にも波及して、同曲は全英7位を記録したのをはじめ、ドイツ、フランス、スペイン、スイスなどでもトップ10入りを果たしています。
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