リサーチ

ルックバック〜1月24日 「魅せられて」「恋人よ」昭和歌謡の歌姫が誕生

2025/01/24掲載
はてなブックマークに追加
昭和に活躍した女性歌手についてエピソードがあったらおしえてください。
ルックバック〜1月24日 「魅せられて」「恋人よ」昭和歌謡の歌姫が誕生
 1月24日は、昭和の音楽シーンに名を刻むビッグヒットを放った女性歌手が誕生しています。1950年に生まれたのがジュディ・オング、翌年の1951年に誕生したのが五輪真弓です。

 ジュディ・オングは、台湾で生まれ、2歳で訪日。劇団ひまわりに入団して芸能活動を始め、60年代より映画やドラマに出演。1966年に「星と恋したい」で歌手デビューを果たしました。以来、女優と歌手を中心に活動。歌手としては、当初は市川昭介作曲の演歌・歌謡調の楽曲を歌っていましたが、70年代からは筒美京平や都倉俊一、中村泰士などによるポップス調の楽曲が増え、75年に市原悦子主演のドラマ『赤い殺意』の主題歌「愛は生命」がヒット(作曲は、“まこ… 甘えてばかりで ごめんネ”で始まる青山和子「愛と死をみつめて」などで知られる土田啓四郎)。そして、1979年に阿木燿子と筒美京平のコンビで放った「エーゲ海のテーマ〜魅せられて」が大ヒットし、ジュディ・オングの代表曲の一つとなりました。

 「魅せられて」は、9週連続でオリコンシングルチャート1位、年間シングルチャートでは2位を記録したほか、日本レコード大賞を受賞するなど、1979年を代表する楽曲となりました(ちなみに、年間1位は渥美二郎「夢追い酒」。レコード大賞では外国作品のカヴァーという理由で西城秀樹「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」が対象外となったことも追い風に)。

 音楽番組などで「魅せられて」を歌う際には、鳥の翼のように扇状に袖が広がる純白のドレスを身にまとって登場。サビの“Wind is blowing from the Aegean”(風がエーゲ海から吹いているわ)で、背後からの光に照らされながら両手を広げる演出が大いにウケて、当時の国民的バラエティ番組『8時だヨ!全員集合』でザ・ドリフターズ志村けんが、ジュディ・オングを真似た白い布をまとったり、ものまねタレントがこぞってパロディにするなど、人気パフォーマンスとしておなじみになりました。

 その後も「ひとひらの雪」などのヒットを放ち、2004年には小西康陽のアレンジによるリメイク・セルフカヴァー「魅せられて(2004 Version)」(写真)をシングル・リリース。ジュディ・オングは1972年に日本に帰化しましたが、台湾、香港をはじめ、東・東南アジアなどでも人気を博し、個展を開くなど版画家としても活躍しています。

 ジュディ・オングの翌年に東京で生まれたのが、シンガー・ソングライターの五輪真弓です。高校時代にはフォーク・グループで活動し、卒業後はギター弾き語りを重ね、1972年にシングル「少女」とアルバム『少女』の同時リリースでデビューを飾りました。米・ロサンゼルスでレコーディングされたアルバムは、オリコンチャート6位とヒット。“和製キャロル・キング”と称するメディアも現れました。

 70年代半ばに仏・パリに滞在し、76年に仏語によるアルバム『えとらんぜ』を発表。帰国後、78年に「さよならだけは言わないで」がヒットすると、メディアにも数多く出演。80年のシングル「恋人よ」が大ヒットすると、同年の日本レコード大賞で金賞を受賞。『NHK紅白歌合戦』にも同曲で初出場を果たしました。以来、『紅白』は1988年までに5回出場。1987年の第38回の際に歌唱した「心の友」は、東・東南アジアにおいては「恋人よ」と肩を並べるほどの人気を博し、特にインドネシアでは“第二の国歌”と呼ばれるほどの有名曲に。スマトラ島沖地震からの復興へ向けて愛聴されたほか、現地の歌手やインドネシアの日本文化紹介TV番組『Kokoro No Tomo』シリーズのオープニング・テーマとしてカヴァーされるなど、シングルカットもされないアルバム『潮騒』収録曲ながら、日本以上の知名度を獲得しています。

 そのほか、木の実ナナへ提供し、西田敏行主演ドラマ『港町純情シネマ』の主題歌に起用された「砂の城」は、タイトルを「愛の蜃気楼」と変えてセルフカヴァーしましたが、ヴェトナムでは現地語で「砂漠の愛」というタイトルで多くのアーティストがカヴァーするなど、インドネシア、ヴェトナム、香港、マレーシアほかで根強い支持を得ています。
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] のん (映画『私にふさわしいホテル』)[インタビュー] 角野隼斗 イメージ・キャラクターを務める「ベスト・クラシック100極」のコンピレーション・アルバムを選曲・監修
[インタビュー] 色々な十字架 話題の“90年代ヴィジュアル系リヴァイヴァル”バンド 待望のセカンド・アルバムをリリース[インタビュー] アシックスジャパンによるショートドラマ 主題歌は注目のSSW、友成空
[インタビュー] 中国のプログレッシヴ・メタル・バンド 精神幻象(Mentism)、日本デビュー盤[インタビュー] シネマティックな115分のマインドトリップ 井出靖のリミックス・アルバム
[インタビュー] 人気ピアノYouTuberふたりによる ピアノ女子対談! 朝香智子×kiki ピアノ[インタビュー] ジャック・アントノフ   テイラー・スウィフト、サブリナ・カーペンターらを手がける人気プロデューサーに訊く
[インタビュー] 松井秀太郎  トランペットで歌うニューヨーク録音のアルバムが完成! 2025年にはホール・ツアーも[インタビュー] 90年代愛がとまらない! 平成リバイバルアーティストTnaka×短冊CD専門DJディスク百合おん
[インタビュー] ろう者の両親と、コーダの一人息子— 呉美保監督×吉沢亮のタッグによる “普遍的な家族の物語”[インタビュー] 田中彩子  デビュー10周年を迎え「これまでの私のベスト」な選曲のリサイタルを開催
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015