将棋、囲碁、チェスなどとともに世代を問わず親しまれているオセロ(オセロゲーム)は、1973年4月25日に三越本店と伊勢丹本店で発売を開始。4日後の4月29日より全国で「オフィシャルオセロ」が発売されました。緑の盤の上で黒と白の石だけを使い、シンプルなルールで行なわれる一方、さまざまな戦術が編み出され、“覚えるのに1分、マスターするには一生”というキャッチフレーズとともに、国内外に普及していきました。
19世紀にイギリスで考案されたリバーシ(Reversi)と類似性のあるこのゲームは、茨城県水戸市出身のボードゲーム研究家・長谷川五郎が考案。プレイヤーが頭脳を駆使して勝敗を決するこのゲームは、互いに盤上の白と黒の石を挟み合い、最終的に相手よりも石が多かったプレイヤーが勝ちとなる単純明快なルールもあって、老若男女に浸透し、爆発的な人気となりました。日本では人口の約半分の6000万人がオセロ競技人口と推定され、これは将棋の1500万人、囲碁の1000万人と比べると、いかに多くの人がオセロをプレイしているかがわかるでしょう。世界での競技人口は6億人と推計され、世界オセロ選手権大会においては、第1回が行なわれた1977年から2024年までの46回のうち、日本代表選手が35回の優勝を果たしています。
オセロというネーミングですが、当初は黒と白の石を上野動物園のジャイアントパンダにちなんで「ランラン・カンカン」と命名しようとしたそうです。しかし、イギリス文学教授で長谷川五郎の父・四郎が、黒人(アラブ人説もある)でヴェニスの軍人のオセローと、白人の裕福な貴公子との縁談を断ってオセローと駆け落ちした妻のデズデモーナたちが、計略によって立場がガラリと一変するシェイクスピアの有名な戯曲『オセロ』になぞらえて、ゲーム名を名付けたといいます。
いまや誰もが知っているボードゲーム「オセロ」ですが、その影響は音楽の世界にも及んでいます。
川嶋あい、
Original Love、
遊助、
GRANRODEO、
藍坊主などが、それぞれに「オセロ」をタイトルにした楽曲を発表。
鈴木茂、
小原礼、
林立夫、
松任谷正隆からなるスペシャル・バンドの
SKYE(スカイ)は、2021年のアルバム『
SKYE』にて「どちらのOthello」を発表しています。近年では“歌ってみた”動画で注目を浴びる韓国の女性歌手、
ダズビーの「オセロ」(アルバム『
orbit』に収録)や、女性シンガー・ソングライターの
TOMOOのメジャー・デビュー・シングル「オセロ」(アルバム『
TWO MOON』に収録)、
志田未来主演ドラマ『
勝利の法廷式』主題歌に起用されたポップ・デュオ、
Amber'sの配信シングル「オセロ」などがあります。
また、歌詞のなかでも“オセロ”は存在感を発揮。
シブがき隊はヒット曲「Hey! Bep-pin」(写真)で、恋のゲームは本気で抱いたら“●(黒)が〇(白)になる”“オセロのようだぜ”と歌ったのをはじめ、浮気を疑うかわいい“私立探偵”に、オセロかなにかして遊んでいたよとアリバイを話す
RCサクセション「私立探偵」、当たり前だと思っていたことがそうじゃなかったと気づいた時のことを、ぱたぱたとオセロがひっくり返っていくようと表現した
槇原敬之「どーもありがとう」、未来への挑戦する自身に、単調なオセロなんてつまらない、向かい風の現状を“ひっくり返す”と問いかける
JUJU「Bet On Me」、未来はオセロの白と黒のように単純じゃないけど、落ち込まずに恋しよう!と励ます
TWICE「L.O.V.E」など、さまざまな詞世界のなかで“オセロ”が引用されています。
このほかにも、
レミオロメン「プログラム」、
三浦大知「MAKE US DO」、
WANIMA「Chasing The Rainbow」、
FLOW「BLACK & WHITE」、
Kis-My-Ft2「HUGTIME」、
超特急「AwA AwA」、
AKB48「予想外のストーリー」、
乃木坂46「トキトキメキメキ」、
ClariS「君色」、
RHYMESTER「Come On!!!!!!!!」、
BAD HOP「Two Tones (feat. Tiji Jojo)」、
秋山黄色「見て呉れ」、
imase「アウトライン」など、さまざまなジャンルの楽曲に“オセロ”が登場。
UVERworldは、アニメ映画『
青の祓魔師 -劇場版-』主題歌となったシングル「REVERSI」にて“オセロの勝ち方を教えてやる”と歌い、キャッチコピーとなった「この胸の迷いに、白黒をつける。」という思いを吐露しています。
“オセロ”を歌う楽曲を聴きながら、オセロ発売の記念日にオセロをプレイしてみると、楽しいひと時が過ごせるのではないでしょうか。