3月26日は、20世紀のポップ・ミュージック・シーンで最も成功した人物のひとりとされる
ダイアナ・ロスのバースデー。1944年にミシガン州デトロイトにてダイアナ・アールとして生まれ(本名はダイアナ・アーネスティン・アール・ロス)、2025年で81歳を迎えます。
1959年に友人の
マリー・ウィルソン、フロレンス・バラード、バーバラ・マーティンと“プリメッツ”を結成した後、61年にモータウン・レコードと契約。マーティン脱退後に“
ザ・スプリームス”(ザ・シュープリームス)としてのキャリアをスタートしました。67年にバラード脱退、シンディ・バードソング加入の際に、“ダイアナ・ロス&ザ・スプリームス”(ダイアナ・ロス&ザ・シュープリームス)と改名。1969年のシングル「またいつの日か」を最後として、翌1970年にロスはグループを脱退し、ソロ活動へ移行しました。
同年に
マーヴィン・ゲイと
タミー・テレルの楽曲をカヴァーした「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」が全米1位を獲得したのを皮切りに、ビッグ・ヒットを連発。ソロとしての全米ナンバー1だけでも、「エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ」をはじめ、73年に「タッチ・ミー・イン・ザ・モーニング」、1975年には主演映画『マホガニー物語』の主題歌で、日本ではネスカフェのCMソングとしておなじみとなった「マホガニーのテーマ」、1976年に「ラヴ・ハングオーヴァー」、1980年に「アップサイド・ダウン」、1981年に
ブルック・シールズ主演映画『
エンドレス・ラヴ』のテーマ曲で
ライオネル・リッチーとデュエットした「エンドレス・ラヴ」と6曲を数えます。
ザ・スプリームス時代は「愛はどこへ行ったの」をはじめ、「ベイビー・ラヴ」「ストップ・イン・ザ・ネイム・オブ・ラヴ」「恋はあせらず」「ユー・キープ・ミー・ハンギン・オン」「恋ははかなく」「ラヴ・チャイルド」など12曲が全米1位に輝き、グループとソロを合わせて18曲のナンバーワンヒッツを世に送り出しています。これは
ザ・ビートルズの20曲に次ぐ快挙となります。
また、ロスといえば、豪華なデュエットや共演でも知られ、1973年にマーヴィン・ゲイと『ダイアナ&マーヴィン』なるデュエット・アルバムを発表するほか、前述の「エンドレス・ラヴ」でライオネル・リッチーとデュエット。78年のミュージカル映画『ウィズ』では、
マイケル・ジャクソンと共演を果たしました。ロスがモータウンからRCAへ移籍した後に発表した1982年のアルバム『ス
ウェプト・アウェイ』ではライオネル・リッチー、
ダリル・ホール、
バーナード・エドワーズなどがプロデュースを手掛け、「オール・オブ・ユー」にて
フリオ・イグレシアスとデュエット。同アルバムは全米26位、同R&Bチャート7位を記録し、ゴールドディスクを獲得しました。
その後はしばらくトップ40入りから遠ざかりましたが、日本では1990年に
今井美樹と
石田純一が主演したドラマ『
想い出にかわるまで』のテーマ曲に「イフ・ウィ・ホールド・オン・トゥゲザー」が使われると、これがヒット。同曲はアニメ映画『映画 リトルフットの大冒険』の主題歌に起用されていましたが、日本では『想い出にかわるまで』のテーマ曲としての印象が強く残っているようです。同曲を収録したアルバム『ザ・フォース・ビハインド・ザ・パワー』は全米では102位とふるいませんでしたが、日本では『
永遠のイフ・ウィ・ホールド・オン・トゥゲザー』とタイトルを替えてヒット。全英11位をはじめ、オランダやスイスなどヨーロッパでもヒットしました。
2000年以降も活躍は続き、2008年にマンハッタンからリリースした『
アイ・ラヴ・ユー』が全米32位に。2021年の『
サンキュー』(写真)までスタジオ・アルバム25枚を発表しています。2023年のグラミー賞では、『サンキュー』が最優秀トラディショナル・ポップ・ヴォーカル・アルバムにノミネートされると同時に、ザ・スプリームスとして特別功労賞生涯業績賞を受賞。2012年にはダイアナ・ロスとして同賞を受賞しており、2度目の特別功労賞生涯業績賞受賞は女性初となります。
2025年は「セレブレーティング・タイムレス・クラシックス」ツアーをスタート。併せて、「UK&EU」ツアーの開催も予定しています。オフィシャル・サイトには「さらに多くの公演が発表される予定なので、お楽しみに」との文言が記されており、2015年以来の単独来日公演があるのかも気になるところです。