“球春到来”を告げる春の風物詩として恒例の選抜高校野球大会。2021年の第93回大会は4月1日に決勝戦が行なわれ、神奈川県代表の東海大相模の優勝で幕を降ろしました。昨年は開催が中止となったため、第93回大会の入場行進曲は昨年に選出された
Foorinの「パプリカ」(写真)がそのままスライドして入場行進曲に選ばれました。
さて、選抜の入場行進曲で最もヒットした楽曲について、何をもって“ヒットした”とするかによって意味合いも変わると思われますが、ひとまず1968年からスタートしたオリコンによるシングルの国内売上枚数で見てみますと、2001年の第73回の入場行進曲に選ばれた
サザンオールスターズの「TSUNAMI」が歴代シングル売り上げ枚数3位(約293.6万枚、2019年)で選抜の入場行進曲のなかではトップ。続いて、2004年の第76回大会と2019年の第91回大会で2度選出された
SMAPの「世界に一つだけの花」が同9位(約257.3万枚)となります。CDと音楽配信との売り上げでも「TSUNAMI」や「世界に一つだけの花」は300万セールスを超えており(2019年4月)、この2曲は有力な候補といえそうです。
ただ、国内外を含めて考えますと、1962年の第34回に選ばれた
坂本九の「上を向いて歩こう」は、日本出身者として唯一の全米チャート1位を達成したほか、世界約70ヵ国でリリースされ、総売り上げは1300万枚超と推測される文字どおりのビッグ・ヒットを記録。「SUKIYAKI」あるいは「スキヤキ・ソング」として長く愛される、世界的な名曲として知られています。選抜においても、「上を向いて歩こう」を選曲して以降にいわゆる“流行歌”を入場行進曲に採用する慣例が生まれており、ヒット曲による入場行進曲のパイオニアといえるでしょう。
なお、坂本九の楽曲では「上を向いて歩こう」以外に、1965年の第37回に「幸せなら手をたたこう」、翌66年の第38回に「ともだち」などが選ばれています。坂本(共作を含めると6度の選出)以外に複数回選ばれているアーティストは、
三波春夫(「世界の国からこんにちは」)や
岩崎宏美(「センチメンタル」「聖母たちのララバイ」)、SMAP(「がんばりましょう」「世界に一つだけの花」)、
槇原敬之(「どんなときも。」)、サザンオールスターズ(「TSUNAMI」「君こそスターだ」)、
AKB48(「Everyday、カチューシャ」「恋するフォーチュンクッキー」)らがいます。
来年の第94回大会ではどのアーティストの楽曲が選ばれるのかを念頭に置きながら、2021年の音楽シーンを見ていくのも、また違った楽しみになりそうです。
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