声帯の衰えを理由に、80歳の誕生日となる5月3日をもって63年の歌手生活にピリオドを打った
橋幸夫。その最後の雄姿となる5月1日の浅草公会堂でのラストコンサートは、満員の盛況で幕を閉じました。
さて、近年、TikTokにて橋が歌う「ジェンカ」の曲に合わせてダンスを踊る動画投稿が急増し、“バズ”っていることが話題に。若い世代から熟年まで、幅広く愛される楽曲となりました。
「ジェンカ」は、フィンランド民謡に合わせて踊るフォークダンスのことで、60年代半ばから日本でも流行。特に
坂本九が歌った「レットキス(ジェンカ)」のリズムに乗って、ジャンケンをしながら長い列を作って踊る光景が日本全国で見られました。
橋ヴァージョンの「ジェンカ」は、2008年のシングル「
いのちのうた(コロブチカ)」のカップリングとして発表。
永六輔が作詞した坂本ヴァージョンとは異なり、昨年に
ザ・ウィークエンドの「アウト・オブ・タイム」に「Midnight Pretenders」がサンプリングされたことで再び脚光を浴びた
亜蘭知子が訳詞を手掛けたもの。2018年のアニメ映画『
クレヨンしんちゃん 爆盛!カンフーボーイズ〜拉麺大乱〜』の挿入歌となり、劇中ではしんちゃんたちが街中でジェンカを踊るシーンも話題となりました。
そんな橋の「ジェンカ」に続いて、バズりそうな楽曲を3曲ほどピックアップしてみました。まずは、67年リリースの「
恋のメキシカン・ロック」。橋のリズム歌謡シリーズを代表する楽曲のひとつで、翌年のメキシコオリンピックを意識したとか。パーカッションとホーンが絡むラテン歌謡風のメロディとリズムは、SNSのダンスのBGMにも合いそうです。
次に「恋のメキシカン・ロック」と同じくリズム歌謡シリーズから、65年にシングル・リリースされた「
あの娘と僕(スイム・スイム・スイム)」を。冒頭の「スイム スイム スイム スイムで踊ろう」や、東レの水着「ピチ」とのタイアップから「あの娘もこの娘もピチ娘」という耳に残るフレーズも、インパクトがありました。同年の紅白歌合戦では白組のトリを飾り、白組メンバーたちが橋の後ろでスイムのリズムのステップを踏む光景も見られました。
最後はやはり、60年にリリースされた橋のデビュー・シングル「
潮来笠」でしょうか。股旅歌謡の代表的な楽曲で、この年に橋は日本レコード大賞新人賞を受賞。橋の鉄板の人気曲として、長く親しまれています。「潮来(いたこ)の伊太郎 ちょっと見なれば」のフレーズは、
ザ・ぼんちのおさむや
清水アキラをはじめ、芸人やものまねタレントたち、
志村けん出演のバラエティ番組などでも披露され、人気ネタとしてお茶の間を賑わせました。
これら以外にも、橋は63年の間にさまざまなバラエティに富んだ楽曲をリリースしていますので、橋の楽曲をあらためて楽しんでみるのも良いのではないでしょうか。上述の「ジェンカ」を含む4曲は、2021年リリースの『
ベストヒット全曲集』(写真)などで聴くことができます。
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