地球に取り残された宇宙人とエリオット少年の友情を描いて世界的にヒットし、老若男女幅広い世代に愛された映画史に刻まれる
スティーヴン・スピルバーグ監督による名作映画『
E.T.』。アメリカでは1982年6月に公開されると、『
スーパーマンII』『
ロッキー3』を抜いて、歴代最高の週末興行収入を記録。1990年の『
ホーム・アローン』までは未達成だった週末興行1,000万ドル以上を8回も記録し、16週連続1位という快挙を達成しています。アメリカ国内だけでも約3億ドルと、当時の映画史上最大の興行収入となりました。
また、第55回アカデミー賞では9部門にノミネートされ、作曲賞、音響賞、音響効果編集賞、視覚効果賞の4部門を受賞。そのほか、第40回ゴールデングローブ賞をはじめ、スペイン、フランス、イタリアや日本でもブルーリボン賞を受賞するなど、海外でも高い評価を受けました。特に日本では1982年12月4日の公開日から記録的な観客動員を数え、1997年の『
もののけ姫』に抜かれるまで、当時の邦画・洋画の配給収入の歴代1位を誇りました(現在の日本歴代興行収入1位は2020年公開の『
劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』、2位は2001年公開の『
千と千尋の神隠し』、3位は1997年公開の『
タイタニック』)。
日本にて『E.T.』が公開された日にちなんで、12月4日は「E.T.の日」に制定されています。地球に不時着した宇宙人とエリオット少年との間に芽生えた深い絆を描いた心温まるストーリーのなかに、友情や家族愛をはじめ、異文化への理解や需要の大切さといったさまざまなテーマが盛り込まれ、そのメッセージ性の高さでも評価を獲得しました。バチカンのシスティーナ礼拝堂に描かれたミケランジェロの天井画の一部「アダムの創造」をモチーフとしたともいわれる、愛らしさもうかがえる異形の外見やしぐさの宇宙人E.T.(Extra-Terrestrial=地球外生命体)とエリオット少年が指を合わせるシーンは、多くの人の記憶に残っているのではないでしょうか。
その『E.T.』の世界観を彩った音楽を手掛けたのが、ニューヨーク出身の作・編曲家、指揮者、ピアニストの
ジョン・ウィリアムズです。手掛けた映画音楽には名作が数知れず、特に
ジョージ・ルーカスやスティーヴン・スピルバーグ監督作品を中心に作曲をしていて、いくつか挙げただけでも、1975年の『
ジョーズ』をはじめ、1977年の『スター・ウォーズ』『
未知との遭遇』、1978年の『
スーパーマン』、1980年の『
スター・ウォーズ/帝国の逆襲』、1981年の『
レイダース/失われたアーク《聖櫃》』、1982年の『E.T.』、1989年の『
インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』、1990年の『ホーム・アローン』、1993年の『
ジュラシック・パーク』『
シンドラーのリスト』、1998年の『
プライベート・ライアン』、2001年の『
ハリー・ポッターと賢者の石』などアメリカの興行収入の上位にランクインする作品の音楽を数多く作曲しています。そして、上述の多くが受賞作となり、これまでにグラミー賞25回、英国アカデミー賞7回、アカデミー賞5回、ゴールデングローブ賞4回を受賞。アカデミー賞には52回もノミネートされ、これはウォルト・ディズニーに次いで2番目に多いとされ、まさに世界的な映画音楽の巨匠といえる存在です。
壮大で感動を呼ぶ『E.T.』のサウンドを聴きながら、「E.T.の日」に友情や他者との交流について深めてみてはいかがでしょうか。
(写真は、ジョン・ウィリアムズによる『
『「E.T.20周年アニヴァーサリー特別版」オリジナル・サウンドトラック』)
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