まずは、桑田佳祐の「声に出して歌いたい日本文学 」から。2009年12月に桑田の12作目のシングル「君にサヨナラを」(写真)のカップリング曲として発表され、桑田とユースケ・サンタマリアがホストを務める音楽バラエティ番組『桑田佳祐の音楽寅さん 〜MUSIC TIGER〜』の企画で制作。タイトルに“メドレー”とあるように、中原中也『汚れつちまつた悲しみに』を皮切りに、太宰治『人間失格』、樋口一葉『たけくらべ』、芥川龍之介『蜘蛛の糸』、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』などの近代の日本文学作品を引用し、夏目漱石は『吾輩は猫である』の有名な冒頭のくだりを取り上げています。約18分40秒にもなる長さはもちろんのこと、それぞれの文学作品をイメージした桑田のメロディやアレンジのセンスが光る一曲となっています。同曲はシングル「君にサヨナラを」のほか、ベスト・アルバム『I LOVE YOU -now & forever-』でも聴くことができます。
GAKU-MCは、2009年の4枚目のアルバム『世界が明日も続くなら』にて「月が綺麗です」を発表。夏目漱石の英語教師時代に“I love you”を“我君を愛す”と訳した生徒に対して「〈月が綺麗ですね〉とでも訳しておけばよい」と答えたという逸話(それが本当かどうかは不明)をモチーフにした歌詞をサビに配置しています。同曲はベスト・アルバム『THE BEST "GRADATION"』にも収録されています。
言葉遊びのラップを駆使することでも知られるm-floは、2000年2月にリリースした記念すべき1枚目のアルバム『Planet Shining』のタイトル曲「Planet Shining」にて漱石に言及。LISAとVerbalがマイクリレーするなかで、Verbalが“夏目漱石 international 教師ミネストローニ”とクールにフロウしています。