1月30日は「3分間電話の日」。日本電信電話公社(現・NTT)の公衆電話からの市内電話の料金が時間無制限で1通話10円だったものが、1970(昭和45)年に3分で10円になったことを記念して制定されました。当時リアルに街中に公衆電話を見かけ、使用していた人には懐かしい光景かもしれませんが、通称“黒電話”の固定電話や公衆電話が日常ではなく、スマートフォンが当然の時代の世代の人たちにとっては、「はて?」といったところでしょうか。
歌は世相を反映するとも言われ、もちろん電話をテーマにした楽曲は今もなお世界中で数限りなく歌われていますが、“公衆電話”となると現代では絶滅危惧種に近いのかもしれません。ということで、70年代〜90年代頃には頻繁に登場したであろう「公衆電話」に関するシーンが出てくる楽曲をいくつか挙げていきたいと思います。
まずは、
森高千里の「渡良瀬橋」です。「
私がオバさんになっても」に続く森高の17枚目のシングル「
雨 / 渡良瀬橋」(写真)のタイトル曲として1993年にリリースされ、同年のアルバム『
LUCKY 7』にも収録。栃木県足利市に流れる渡良瀬川の風景を綴りながら、「床屋の角にあるポツンとある公衆電話おぼえてますか」と歌っています。ちなみに、渡良瀬橋は、この曲の影響もあり、のちに観光名所となりました。
続いては、
槇原敬之が1992年にリリースしたアルバム『
君は僕の宝物』に収録された「遠く遠く」を挙げておきましょう。「いつでも帰ってくればいいと真夜中の公衆電話で〜」など、故郷に住む友達を思い出しながらしたためた歌詞が共感を呼び、ファンに愛された代表曲になりました。また、「遠く遠く '06ヴァージョン」はNTT東日本のCMソングに起用され、話題になりました。
80年代や90年代は特に「公衆電話」や「電話ボックス」というワードが使われ、
長渕剛の「恋人時代」「勇次」や
小泉今日子「
キスを止めないで」、
山崎まさよし「Rough Rock'n Roll Boogie」で“公衆電話”が、
田原俊彦「ハッとして! Good」、
吉川晃司「モニカ」、
徳永英明「
レイニーブルー」、
渡辺美里「
恋したっていいじゃない」で“電話ボックス(BOX)”や“telephone box”といった歌詞が登場するなど、枚挙にいとまがありません。2000年代になるとその数も次第に減少していきますが、「公衆電話BOX飛び出して」と歌った
氣志團「甘い眩暈」など、完全に消えたわけではありません。
面白いところでは、ジャニーズのミュージカル『PLAYZONE 2009「太陽からの手紙」』の
オリジナル・サウンドトラックに収録されている「ケータイ天国」に「公衆電話のかけかたわからない」とあったり、
モーツァルトの「トルコ行進曲」のアレンジに自作の歌を載せた
オワタPの「トルコ行進曲 - オワタ\(^o^)/」では「公衆電話を探して見つけて財布を開くと小銭がない」と歌っていたり、
アンダーグラフが2015年にリリースしたミニ・アルバム『
1977年生まれの僕らは』のタイトル曲「1977年生まれの僕らは」では「ポケベルの12文字 想いを寄せた 公衆電話に列を作り」と当時をしのばせる光景が綴られるなど、時にコミカルに、時に郷愁のひとつとして、歌われています。
「3分間電話の日」にちなんで、懐かしい公衆電話や電話ボックスの思い出を馳せながら、あるいはそういった光景を初めて知る人たちは親世代の時代に触れる良い機会として、公衆電話ソングをチェックしてみるのもいいかもしれません。
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