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J-POPシーンの風変り!? な“タンゴ”ソング5選

中森明菜   2024/12/11掲載
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本場のアルゼンチンタンゴではなく、タンゴっぽいJ-POPの曲をおしえてください!
 アルゼンチンの国民的英雄となった歌手、カルロス・ガルデルの誕生日といわれる12月11日にちなんで、この日は「タンゴの日」に制定されています。当初はアルゼンチンの首都・ブエノスアイレスのみの記念日でしたが、2004年頃よりアルゼンチンの国会で認められ、その後アルゼンチン全国で記念日となっています。また、カルロス・ガルデルが生まれた1890年の前年の1899年12月11日は、1920年代から伝統的なタンゴに変革をもたらし、モダンなタンゴの時代を拓いた、タンゴ作曲家でヴァイオリン奏者のフリオ・デ=カロも誕生。奇しくも、アルゼンチンが誇るタンゴ界のスーパースターの誕生日が重なっており、12月11日は「タンゴの日」にふさわしい日といえます。

 18世紀後半にイベリア半島(スペイン、ポルトガルなど)で発祥したといわれるタンゴですが、最も名高いのは、ブエノスアイレスで起こり、発展したいわゆる“アルゼンチン・タンゴ”で、バンドネオンによる演奏が特徴です。よく聴かれるタンゴの最古の楽曲とも謳われるロセンド・メンディサーバル作曲の「エル・エントレリアーノ」をはじめ、1890年代から現在まで数多の著名曲や人気曲が生まれ、世界各地に波及。日本でも1950年代前後からタンゴが流行し、多くのタンゴ・バンドが結成されたほか、1970年代には全国でアルゼンチン・タンゴのイヴェントも数々開催されました。

 タンゴの影響は日本のポップス・歌謡シーンにも大きな影響をもたらし、数多くのタンゴの要素を含んだポップス・歌謡曲が世に放たれましたが、そのなかでもなじみ深い楽曲を中心にピックアップしていきましょう。

 皆川おさむのデビュー曲として発表されたのが「黒ネコのタンゴ」。1969年3月にイタリアで行なわれた童謡コンテスト「ゼッキーノ・ドーロ」で3位入賞を果たした「Volevo un gatto nero」(“黒猫がほしかったのに”の意)に見尾田みずほが日本語詞をつけたもので、同年10月にシングルとしてリリース。14週連続1位をはじめ、同年の年間5位、翌1970年の年間1位を記録し、200万枚をはるかに超える大ヒット。当時6歳だった皆川の後を追おうと、子供歌手や左卜全とひまわりキティーズ(TVバラエティ番組『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』で流れる「老人と子供のポルカ」でもおなじみ)などのユニットが多く生まれる現象も起きました。

 それから30年後の1999年に登場したのが、NHK教育テレビ(現・NHK Eテレ)『おかあさんといっしょ』の「今月の歌」として発表された「だんご三兄弟」です。当時の“歌のお兄さん”の速水けんたろう、“歌のお姉さん”の茂森あゆみが歌って人気を博すと、視聴者からCD化の要望が相当数寄せられ、『おかあさんといっしょ』のオリジナル曲としては初めてCDシングルとしてリリース。290万枚超の大ヒットとなりました。歴代シングルセールスでは、子門真人「およげ!たいやきくん」、宮史郎ぴんからトリオ「女のみち」、サザンオールスターズ「TSUNAMI」に続く4位を記録しています。

 「黒ネコのタンゴ」「だんご三兄弟」ともに多くのアーティストがカヴァーしており、「黒ネコのタンゴ」を歌った皆川は両A面シングル「黒ネコのタンゴ/だんご3兄弟」をリリース。40位となり、皆川は「黒ネコのタンゴ」以来1501週後に再チャートインを果たしています。

 1987年に中森明菜の17枚目のシングルとしてリリースされたのが「TANGO NOIR」(タンゴ・ノアール)。純粋なタンゴ調ではないかもしれませんが、サビの“命を燃やして踊れば tango tango”あたりにタンゴの要素が垣間見えます。週間シングルチャートでは2週連続1位、1987年の年間シングルチャートでは2位を記録。シングル以外では『CD'87』『BEST II』に収録されるほか、『true album akina 95 best』『Akina Nakamori〜歌姫ダブル・ディケイド』や『ベスト・コレクション 〜ラブ・ソングス&ポップ・ソングス〜』(写真)などでは新録ヴァージョンを聴くことができます。

 竹内まりやが2008年の37枚目のシングル「縁の糸」のカップリングとして発表したのが「最後のタンゴ」。A面の「縁の糸」は“マナカナ”こと三倉茉奈三倉佳奈がヒロインを演じたNHKの連続テレビ小説『だんだん』の主題歌として話題になりましたが、「最後のタンゴ」はNHKラジオ『ラジオ深夜便』のコーナー“深夜便のうた”へ書き下ろされました。作詞は伊集院静、編曲は服部克久が手掛けています。2014年リリースのアルバム『TRAD』にも収録されています。

 最後は、チャラン・ポ・ランタンの「親知らずのタンゴ」を挙げておきましょう。チャラン・ポ・ランタンはアコーディオン担当の小春と、ヴォーカルのももによる姉妹ユニットで、2009年に結成。翌2010年にシングル「親知らずのタンゴ」をリリースしています。2014年にはメジャーへ進出し、2016年にはドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』のオープニング・テーマに起用された「進め、たまに逃げても」が大きな反響を呼びました。「親知らずのタンゴ」はベスト・アルバム『過去レクション』でも聴くことができます。
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