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“911”と聞いて思い浮かべる曲・アーティストは?

911(BOYS GROUP / GBR)(NINE ONE ONE)   2024/09/11掲載
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数字がついた曲やアーティストについて、なにかひとつおしえてください。
 9月11日ということで、“911”にまつわる楽曲やアーティストについて、紹介していきましょう。

 まずは、1984年のシングル「ガールズ・ジャスト・ワナ・ハヴ・ファン」(リリース当初の邦題は「ハイ・スクールはダンステリア」)や全米1位となった「タイム・アフター・タイム」をはじめ、多くのヒット曲を放ち、グラミー賞のみならず、エミー賞やトニー賞も受賞している世界的なスター、シンディ・ローパー。彼女が1986年に発表した2作目のアルバム『トゥルー・カラーズ』には、「911」というタイトルの楽曲が収録されています。

 「911」は、アメリカにおける緊急通報番号(日本だと警察の“110”番や消防・救急の“119”番にあたります)のことで、「911に電話しているところ / またトラブルに巻き込まれてるの / ちょっと時間がずれたら上手くいくのに」とトラブルに瀕する日常を嘆く歌となっています。

 全米4位を記録した『トゥルー・カラーズ』において、全米1位に輝いたタイトル曲「トゥルー・カラーズ」のほか、全米3位の冒頭曲「チェンジ・オブ・ハート」、マーヴィン・ゲイのカヴァー「ホワッツ・ゴーイン・オン」、「ボーイ・ブルー」「メイビー・ヒール・ノウ」がシングル化されるなか、未シングルの「911」は一見地味な楽曲に思われますが、同アルバムからは「トゥルー・カラーズ」とともにグラミー賞にノミネート(「911」は最優秀女性ロック・ヴォーカル・パフォーマンス部門)されるなど、高い支持を得ています。

 同じくタイトルが「911」という楽曲を歌っているのが、レディー・ガガ。こちらの「911」は2020年リリースの6枚目のアルバム『クロマティカ』に収録され、その後シングル・カットされました。タイトルは前述の緊急通報番号とともに、レディー・ガガが服用していると思われる抗精神病薬のダブルミーニングで、「薬への依存は自分自身の最大の敵」と「911(=緊急通報番号)に繋いで」と吐露するシリアスな詞世界となっています。同曲は米ビルボードのダンス/エレクトロニック・ソング・チャートで10位を記録。また、チャーリーXCXとA・G・クックによるリミックス曲「911 (Charli XCX & A. G. Cook Remix)」が、2021年リリースのリミックス・アルバム『ドーン・オブ・クロマティカ』に収められています。

 一方、イギリスでは90年代に911(ナイン・ワン・ワン)というボーイ・グループが登場。“ビートルズ以来、最も成功したバンド”とも言われたテイク・ザット以降、ボーイ・バンド・ブームが到来し、レット・ルーズ、MN8ダメージなどとともにシーンに登場した911でしたが、90年代半ばにアメリカから“BSB”“バックス”ことバックストリート・ボーイズが世界的人気を獲得。その後、アメリカからはイン・シンクハンソンなどが続き、90年代後半にはイギリスの多くのボーイ・バンドは最盛期を終えることとなりました。

 911は、リー・ブレナン、ジミー・コンスタブル、スパイク・ドーバーンの3人組で、1995年にグラスゴーにて結成。翌年にシャラマーのカヴァー「ナイト・トゥ・リメンバー」でシングル・デビューし、同曲も収録された1997年のデビュー・アルバム『ザ・ジャーニー』は英ゴールドディスクを獲得しています。全英3位の「ボディシェイキン」や同1位を獲得した「ア・リトル・ビット・モア」などのヒットで知られ、1999年の解散まで10枚の全英トップ10シングルを放ちました。世界中でシングル1,000万枚、アルバム600万枚のセールスを誇り、東南アジアでも人気を集めていました。

 解散後は、2008年の一時的な再結成を経て、2012年にリユニオン。イギリスとアイルランドでアリーナ・ツアーを開催し、翌2013年にはカムバック・アルバム『イルミネイト…(ザ・ヒッツ・アンド・モア)』をリリースしました。2019年にマレーシアのクアラルンプールで行なわれたコンサートはソールドアウトと、依然として東南アジアでの人気を証明。2023年には、ヴェトナムの人気歌手ドゥック・フックとコラボレーションし、「アイ・ドゥ」の英語とヴェトナム語のバイリンガル・ヴァージョンを発表したことも話題となりました。

 ちなみに、アメリカにも911というグループがあり、こちらはニュージャックスウィング・ブームを巻き起こし、キース・スウェットやボビー・ブラウンなどを手掛けたことでも知られるテディ・ライリーがバックアップ。90年代前半にリリースするはずだったアルバム『ザ・プレッシャー』は事実上の“お蔵入り”となっていましたが、2018年にCD化され(写真)、R&Bファンを喜ばせました。





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