APPLEがデジタル機器におけるプライバシー保護の重要性を訴える新CM「iPhoneのプライバシー | 個人情報オークション」が、5月より公開されています。
CMは、買い物中の少女“エリー”が、店内の隅に「エリーの個人情報オークション」との札が下がったドアを見つけてしまう所からスタート。中に入るとオークションが開かれており、「次の出品はエリーの個人情報。魅力的なデータがそろっています」との掛け声のもと、彼女のメールや購入履歴、取引明細、行動履歴が競売にかけられようとしています。自分のプライバシーに次々と入札の声が上がる中、呆れたエリーは、iphoneの画面上で「Appにトラッキングしないように要求」を選択。指先一つで、会場に集まった競売人やブローカー達を煙のように消してゆき、「プライバシー。これがiPhone」の文章とともにエリーの安心の笑みでCMは締めくくられます。
CMの背景で流れているのは、劇伴作曲家として50年代から80年代にかけて活躍したメキシコ人ピアニスト、
エスキベルの「Fantasy」です。50〜60年代に、宇宙をテーマにしたムード・ミュージック “スペース・エイジ・バチェラー・パッド・ミュージック”で人気を博し、ラテン要素をスペイシーかつ洗練されたインスト音楽に落とし込んだ作風で、
マーティン・デニーや
レス・バクスターらと並び、モンド/エキゾチカ・サウンドの巨匠としても挙げられるエスキベル。90年代にはラウンジ・ミュージック・シーンで再評価され、
ステレオラブや
コーネリアスがファンを公言するほか、数多くのアーティストの楽曲にサンプリングで使用されました。
「Fantasy」は、ビッグ・バンドを率いての1959年作『STRINGS AFLAME』(写真)などに収録。
ブラームスのハンガリー舞曲集をベースに、エスキベルらしい妖しくエキゾチックなオーケストラ・アレンジで編曲したもので、個人情報取引の実態をコミカルに描きつつも、知らない間にプライバシーが搾取される気味の悪さを表現した本CMに妙にマッチしています。
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