「聞くは一時の恥、知らぬは一生の恥」と言われたところで、いまさら聞けないことも多数存在する現代・日本。その綴りもディスコグラフィも熟知しているにもかかわらず、ぼんやりと霞がかかったかのように、〜ゴニョゴニョと言葉を濁してしまう“アーティスト/バンド名”。インディーズ〜メジャーまで、ジャンルを問わずに数多存在する「これ、何て読むの?」な名前を紐解いてみましょう。
当初は同じ言葉を3つ並べれば読み方は何でもOKだったという、まさしくファン泣かせな記号系といえば、ポスト・パンクの旗手
“!!!(チック・チック・チック)”。エクスクラメーション・マーク(ビックリマーク)はホントに「チック」と読むのか? という素朴な疑問も醸し出される、適当な雰囲気がたまりません。
かたや日本へ目を向ければ、最近では
LATIN QUARTERとしての活動にも精力的な
空手サイコを中心に結成、2001年にはアルバム『N×E×W×M×U×S×I×C×』を発表した3人組ユニット
“××(チョメチョメ)”。“合成着色エクストリーム・サウンド!!”なるキャッチコピーも衝撃的でしたが、どう考えても
上島竜兵(経由)/
山城新伍(行き)が浮かんでくる、大人のエロス(ちょい下ネタ気味)な風合いが群を抜いております。
来る4月7日、名古屋・得三にて
“FRICTION”名義でのライヴを行なうRECKや、チコ・ヒゲ、カント(元
村八分)などが在籍していたマルチ・アート集団
“○△□(マルサンカクシカク)”、昨年11月に益子樹との共同プロデュースによって制作された2ndアルバム『ファンファーレ』を発表した
“□□□(クチロロ)”など、「記号そのものを読む」という分かりづらいようで潔い?アティテュードに感服。そうかと思えば、
S.O.D.(エス・オー・ディー)のように、響きはシンプルなようでいて“STORMTROOPERS OF DEATH”なる意味が込められた深〜い方々もおり。
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S.O.B(SABOTAGE ORGANIZED BARBARIAN)●
S.D.S(SOCIETIC DEATH SLAUGHTER)●
N.W.A(Niggaz With Attitude)●
D.A.F.(Deutsch Amerikanische Freundschaft)●
PIL(Pubilic Image Limited)●
P.O.D.(Payable On Death)●
DRI(Dirty Rotten Imbeciles)●
T.K.N(鉄拳)●
SBK(スケボーキング)●
YKZ(ヤクザキック) 輪をかけて難しい漢字系も探ってみますと、何故か“と”だけが日本語になっている中国筝ユニット
“鶯と燕(イントイェン)”、確かにそうだけど……と口もすぼんでしまう
“蝸牛(エスカルゴ)”、確かに……第2弾
“皮蛋(ピータン)”、本場・香港では人気爆発なのか?打込みワンマン・バンド
“珈琲因公園(カフェイン公園)”、70'sフォークの隠れ名グループ
“貧゜苦巣(ピンクス)”、懐かしい!
ダンプ松本/大森ゆかりのユニット
“桃色豚豚(ピンクトントン)”、
カルロス・トシキが改名ソロ・デビュー
“鷹橋敏輝(タカハシトシキ)”、テレビ番組から飛び出した坊主頭の女性デュオ
“素一(スッピン)”、RUDY-E/MAIによって結成された今注目のレゲエ・ダンス・チーム
“努(オンナマタヂカラ)”……などなど、枚挙に暇が無い!とばかりに個性をフル活用したネーミング・センスが炸裂しているご様子。文字化け?なんて疑いも巻き起こる
“父2(“2”は二乗。タァ〜タ〜ズ)”、
“?あ゜SISTER(アニマルシスター)”も外せません。
凛として時雨、
溶け出したガラス箱、
熱風音楽市場魅惑の東京サロン、
太陽肛門スパパーン、
水中,それは苦しい……といった具合に、もはや単語なのやら擬音語なのやら会話なのやら、どうにも判断がつきかねるアーティスト/バンド名事情。レコード会社を移籍したと思ったら、いつの間にやら日本語表記も変わっていた……どっちで読んでいいものやら、ファンを路頭へ迷わせるせちがらい世の中を憂いつつ、まだ見ぬ強烈ネーミングに会える日を楽しみに待ちましょう。
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