1944年8月31日、英国ケントのアシュフォード生まれ。公式バイオグラフィによれば、母親は学生時代にファッション・デザインを学び、父親は英国軍のエンジニアとして働いていたとのこと。その父親の仕事の関係で、幼少期からギリシャやキプロス、香港などで暮らした経験を持ちます。1959年に一家は英国に戻り、その後、ロンドンの王立芸術大学を卒業してデザイナーの道へ進みました。
もともとは銀細工や家具の設計をしていた彼が、音楽との繋がりを持つようになったのは1968年のこと。ロンドンにあるRonnie Scott's Jazz Clubの座席をデザインしたのがきっかけだったようです。そして同じ年、彼がアートワークを手掛けた最初のレコードが発表されました。それが
ガンのデビュー作
『悪魔天国(Gun)』。後の作風とは異なる、おどろおどしさすら感じさせるデザインながら、一度目にすれば忘れられないインパクトを放っています。
彼の名をロック・ファンに強く知らしめたのは、やはり
イエスの作品群によるところが大きいでしょう。1971年の名作
『こわれもの(Fragile)』では、印象的な地球と空飛ぶ船を描き、続く
『危機(Close To The Edge)』(72年)では一転、緑のグラデーションによるシンプルなジャケットを仕上げました。また、この『危機』において、その後も長く使われることになる丸みを帯びた“yes”のロゴが登場しています。以降も、イエス本体の作品のみならず、メンバーのソロや、
エイジアをはじめとするファミリー・トゥリーに属するバンド/アーティストまで多数の作品を手掛けており、密接な関係を築きました。
また、これも特徴的なのが、木や岩を用いたデザインが多いこと。イエスの
『海洋地形学の物語(Tales from Topographic Oceans)』(73年)や
『リレイヤー』(74年)、
バジャーの
『ワン・ライヴ・バジャー』(73年)、先述のグリーンスレイドやユーライア・ヒープの作品群でも、現実を忘れさせてくれるような、幻想的な風景を描き出しています。
ここで紹介したのは極々一部の有名な作品ばかり。とにかく数え切れないほどのアートワークを手掛けている人物であり、デザインした作品には名作も多数ありますので、興味をお持ちの方は探求の道へ足を踏み入れてみては?
●ロジャー・ディーンの公式HP:
http://www.rogerdean.com/◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆※ 記事は掲載日時点での情報をもとに書かれています。掲載後に生じた動向、および判明した事柄等は反映しておりません。ご了承ください。