イタリア〜ンに伊達&キザな佇まいにて、世界へ良質なダンス・ミュージックを発信し続ける“IRMA RECORDS”。設立から現在へと至るその歴史にズームイン! アゲアゲな貴方もジャジーなちょいワルも注目ですよ!
IRMA RECORDSの歴史は1989年、パゾリーニ生誕の地としても知られるイタリア北部の街、ボローニャに始まります。設立当時事務所に使っていたビルは、その昔“Irma Casa Di Prim' Ordine”(“Irma First Class House”の意)という名の知れた売春宿だったそうな。そこの女主人、Irmaが、レーベル名の由来となっています。狭山茶とは何の関係もありません。ロゴにあしらわれている、おみ足をチラつかせ、不敵な微笑を浮かべた女性がその人なのでしょう。イタリア男のパブリック・イメージもとい偏見、パゾリーニ、売春宿と来て、「『Sex and the City』のサントラ・シリーズをリリースしている」とだけ言ったら、ちょっぴりエッチなレーベルなの……? と思われるかもしれません。が、当初のIRMA recordsについて言うならば、それはあながち間違ってはいないでしょう。
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コチラをごらんください。
1980年代後半といえば、イビサ、アシッド・ハウス、セカンド・サマー・オブ・ラブといったキーワードで語られる、米シカゴのゲイ・カルチャーから生まれたハウス・ミュージックが世界中の土地土地で花開いた時期。
イタロ・ディスコでアゲアゲというかイケイケなイタリアに、その熱狂が浸透するのにそう時間がかからなかったであろうことは想像に難くありません。イタリア人なりのいじくり方でエレクトロニクスを使用し、
ジョルジオ・モロダーに代表される独特のハンマー・ビートを持つイタロ・ディスコが、ハウスのファンクネス、グルーヴによってアップデートされます。まんまですが、イタロ・ハウスと呼ばれるジャンルの誕生です。
初期のIRMA RECORDSはこのエッチくさいイタロ・ハウスの名盤を数多くリリースし、枢軸としてシーンを支えました。中でもClaudio “Moz-Art”RispoliとKekko Montefioriという2人のプロデューサーの活躍は特筆すべきものがあります。Soft House CompanyやKeys & Tronics Ensembleといった名義で制作された作品は、Francois Kevorkianから、
フランキー・ナックルズ、
トニー・ハンフリーズ、そしてかの故
ラリー・レヴァンまでがスピンし、世界中で大ヒットしました。先日発売された
ハシエンダ全盛期をイメージして制作された
ピーター・フック(
ニュー・オーダー)コンパイルのmix CD
『HACIENDA DJ CLASSICS VOL1 PETER HOOK:THE EARLY YEARS』にSoft House Companyが収録されていることからも、世界に与えたインパクトが想像できます。その後、熱も一時ほどではなくなった頃、イギリスで勃発した
アシッド・ジャズの影響を強く受け、IRMA RECORDSはジャズ・テイストな作品が増えていきます。
世界的にダンス・ミュージックはジャズ、ファンク、アフロ、ブラジル等をミックスしたり、踊ることをも主眼としていないチル・アウトと呼ばれるジャンルが登場したりと、バレアリックなものが主流となりつつあり、そういった中で勢力的にリリースを続けたIRMA RECORDSは再び中心的な役割を果たすこととなります。現在のIRMA RECORDSのカラーはこの時期に
BOSSA NOSTRAや前述のClaudio Rispoli率いるJESTOFUNK、
LTJ X-Perience、
DJ Rodriguezらが築いた礎の上にあるといって良いでしょう。
より洗練された音楽性と、ニーズに応じたサブ・レーベルによりファン層は急速に拡大。多数のハイ・クオリティなコンピレーション・シリーズを連発し、世界各地に窓口を広げたIRMA RECORDSは、ELMIOやKALEIDO、PASTABOYS、そして
FreeTEMPO、
i-dep、
Paris Matchといった日本人アーティストを世に出しました。
ここ日本でもIRMA JAPANが設立、その第1弾リリースとして今後予定されているアーティストの楽曲を先行収録したレーベル・サンプラー
『PLAYLIST 001』を名刺代わりにドロップ。さらには日本人アーティストとしては初のフル・アルバム
『MORNING LIGHT』(写真右)をリリースした松下昇平率いる
M-SWIFT(写真左)らによって、ますます元気に!これからもまだまだ盛り上がりそうです。
●IRMA RECORDS :
http://www.irmagroup.com/●IRMA RECORDS JAPAN :
http://www.irmagroup.jp/※ 記事は掲載日時点での情報をもとに書かれています。掲載後に生じた動向、および判明した事柄等は反映しておりません。ご了承ください。