この浮遊感と静寂に満ちた映像で流れるのは、フィメール・ラッパーのティーケイ・マイザ(Tkay Maidza)が歌うピクシーズ「Where Is My Mind」のカヴァーです。ティーケイ・マイザは、ジンバブエ生まれオーストラリア育ちのラッパー / シンガー・ソングライター。わずか16歳でデビューしたことで注目を浴び、2016年に発表したデビュー・アルバム『Tkay』は数々の音楽賞を受賞。トラップ、UKグライムを取り入れたサウンドと彼女のルーツを感じさせる独特のアクセントで人気を博しています。
「Where Is My Mind」は、USオルタナティヴ・ロックを象徴するバンド、ピクシーズが1988年に発表したデビュー・アルバム『サーファ・ローザ』(写真)に収録されており、ブラッド・ピット&エドワード・ノートン主演映画『ファイト・クラブ』のラスト・シーンで流れたことでバンドを代表する名曲として知られています。「足は宙に、頭は地面に」という出だしの、心と体が離れ離れになったような、現代にも通じる不安定な心境を歌った同曲を、ティーケイ・マイザはアート・ラップとR&B、80年代シンセ・ポップのテクスチャーを用いて現代に提示。こちらは、2021年に発表された、名門「4AD」レーベルの40周年を記念したカヴァー・アルバム『Bills & Aches & Blues』に収録されています。