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甲子園に響く、長く親しまれるJ-POP・歌謡曲

ピンク・レディー   2024/08/16掲載
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高校野球の応援曲で人気のJ-POP曲はなんですか。
 2024年に100周年を迎えた甲子園球場にて熱戦を繰り広げている夏の高校野球。好プレーや好ゲームが続くなか、スタンドで奏でられる応援も、ドラマティックなシーンを生み出す要素のひとつです。近年は最新曲を採り入れることも多く、YOASOBIアイドル」やCreepy NutsBling-Bang-Bang-Born」などのヒット・ソングも頻繁に演奏されています。

 大学の応援歌をはじめ、アニソン、洋楽、クラシック、プロ野球応援歌、オリジナル楽曲などさまざまな楽曲が演奏されていますが、そのなかでもおそらく選手たちがリアルタイムでは聴いていないような、いわゆる“ナツメロ”的な歌謡曲やJ-POPも少なくありません。

 「お前が打たなきゃ誰が打つ」のフレーズでおなじみの「狙いうち」は、山本リンダのシングルとして1973年に発表。作詞を手掛けた阿久悠の母校、明治大学のチャンステーマとして東京六大学野球で演奏されるのをはじめ、プロ野球・中日ドラゴンズの応援歌などでも知られる人気曲です。

 「学園天国」も定番曲のひとつ。フィンガー5の4枚目のシングルとして1974年にリリースされ、「ヘーイヘイヘイ ヘーイヘイ」の掛け合いが盛り上がりを呼びます。多くのアーティストがカヴァーしていますが、なかでも“キョンキョン”こと小泉今日子が1989年に28枚目のシングルとして発表したヴァージョンは、「学園天国」のリバイバルヒットを加速させました。小泉自身と陣内孝則が共演した“月9”ドラマ『愛しあってるかい!』の主題歌として記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。

 1978年に“世界のホームラン王”こと王貞治を想起させる歌詞で話題を集めたピンク・レディーの7枚目のシングル「サウスポー」も甲子園応援の定番曲。ピンク・レディーにオリコン初登場1位をもたらしました。ちなみに、「狙いうち」「学園天国」「サウスポー」はどれも阿久悠が作詞を担当。そのうち「狙いうち」「サウスポー」は作詞・阿久悠、作曲・都倉俊一のゴールデンコンビが手掛けています。

 80年代の楽曲では、1988年にリリースされた爆風スランプの12枚目のシングル「Runner」、翌89年にはX JAPAN(当時・X)のメジャー1作目のシングル「紅」が高い人気を誇ります。特に「紅」はキーが高いこともあり、名曲として広く認知されながら、アーティストによるカヴァーはそれほど多くはないですが、高校野球では長きにわたって演奏されています。サビ前を「お前はカッコイイ」と繰り返す替え歌フレーズで歌う学校も少なくありません。また、サッカーJリーグの川崎フロンターレなども「紅」を元ネタにした応援チャントを歌唱しています。

 暑い夏の季節にピッタリなのが、JITTERIN'JINNが1990年に4枚目のシングルとして発表した「夏祭り」でしょう。高校野球のみならず、プロ野球・ヤクルトスワローズのチャンステーマとしても使われています。本曲も「学園天国」同様に、Whiteberryが2000年に3枚目のシングルとしてカヴァーしたことによって、さらにお茶の間に広く知られることとなりました。ドラムやビートが印象的な楽曲ということもあってか、音楽ゲーム『太鼓の達人』の定番曲としてもおなじみです。

 BRAHMANが1998年にリリースした3枚目のアルバム『A MAN OF THE WORLD』に収められた「SEE OFF」も人気曲のひとつ。オリジナルは全編英語詞で書かれていますが、歌詞の「to the end」が“甲子園”に聴こえたという理由から、同曲のチャンステーマを茨城県立日立一高の有志や応援団が作ると、茨城県内の他の高校が演奏し始め、さらに全国各地へと広まっていきました。また、サッカーのチャントとしても人気で、Jリーグの松本山雅FCのサポーターが“止まらねえ 俺たち松本 暴れろ 荒れ狂え”と歌詞をつけてゴール時のチャントとして歌うほか、高校サッカーでも数多く使われています。なお、BRAHMANのヴォーカルのTOSHI-LOWは茨城県出身、MAKOTORONZIが長野県松本市出身ということで、バンドメンバーとの縁も感じられる応援歌といえそうです。

 大塚愛がその名を知らしめることになったヒット・ソング「さくらんぼ」も人気の応援定番曲。2003年に2枚目のシングルとして発表され、同曲で翌年末の日本レコード大賞・最優秀新人賞を獲得しました。サビにて「ワッショイ、ワッショイ」の合いの手が入るなど、スタンドがいっそう盛り上げる光景を目にすることも多いのではないでしょうか。お笑いコンビのにゃんこスターがネタで使用することでも知られていますね。

 2008年に湘南乃風の8枚目のシングル「恋時雨」のカップリングとして発表された「SHOW TIME」も高校野球を彩る応援歌として人気の楽曲。冒頭の「戦闘開始!!」や「打て!打て! 打て!打て!打て!」といったフレーズもあり、高校野球応援の定番曲となっています。湘南乃風の“地元”にあるJリーグの湘南ベルマーレでは、試合開始直前の選手入場時のBGMとして同曲が流れ、高揚に一役買っています。

 「狙いうち」「学園天国」などは、50年経った現在でもプレーを後押しする楽曲として広く愛される楽曲となりました。今後も長く親しまれる定番曲としてどのような楽曲が加わるのかにも注目しながら、応援曲をオリジナルの原曲とともに楽しみたいところです。

(写真は、ピンク・レディー「サウスポー」を収録したピンク・レディーのベスト・アルバム『ベスト・ヒット・アルバム』)
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